バフェット太郎です。

ポーカーの世界では、それまで順調に買っていたのに、負けが込み始めると次第にどうでもよくなり、投げやりな勝負をして結果的に大損するプレイヤーがいます。投資の世界ではどうでしょうか?

カーネギー・メロン大学のアレックス・イマス准教授が学術誌「アメリカン・エコノミック・レビュー」誌に発表した論文によれば、投資家は評価損にとどまっていれば、より大きなリスクをとる傾向がある一方で、実際に損失が確定すると、その後はリスクをあまりとらなくなる傾向があると主張しました。

投資の世界では、一般的に個別銘柄に投資して頻繁に売買するよりも、S&P500指数に連動するようなETFやインデックスファンドに投資する方が長期的にみればリターンが高いということがわかっています。それでも個別銘柄に投資している人は、自分の持ち株について「この会社の価値を誰もが過小評価しているが、自分だけが適正価格を知っている」と考えるなど自信過剰バイアスに支配されている可能性が高いです。

そのため、お気に入りの持ち株の評価損が拡大していても、「割安な優良株がさらに割安になった」と考え、株をどんどん買い増してしまうのです。するとどうなるかというと、誰もがクソ株と考えてるけれど、自分だけは優良株と考えてる特定の銘柄だけに集中投資してしまうという結果になり、基本的な分散がなされてない、到底資産運用ともいえないポートフォリオが出来上がってしまうのです。さらに特大の評価損のおまけまでついてきます。

しかし、ウォーレン・バフェットなど著名投資家について書かれた本などを読んでると、本質的な価値よりも割り安な価格で買うことの大切さや、「私は割安な株がさらに割安になったと考え、さらに買い増した」といったエピソードなどが書かれているので、こうした本の影響を受ける個人投資家は少なくないと思いいます。ただし、これを生存バイアスにかかっていると言ったりします。

生存バイアスとは、淘汰された多数のサンプルを無視し、生き残った一部のサンプルのみを抽出してしまう事によって偏った結論に至るという事を言います。

つまり、バフェットなどの投資行動は生き残った一部のサンプルであり、淘汰された多数のサンプルというのが、あなたたち自身だということです。

さて、このように評価損にとどまっている場合、より大きなリスクをとる傾向に注意しなければなりません。一方で、評価損を実際に損失として確定し、痛い目にあってきた投資家たちは、ETFやインデックスファンド、債券投資など、負けない投資戦略、あるいは安全な投資戦略にシフトして、リスク回避の姿勢を鮮明にします。

しかし、こうした投資姿勢はリスク回避というよりも現実逃避に近く、「投資の恐怖から逃れたい。だけど資産運用はしたい」という都合の良い意見に聞こえてしまいます。だからこそETF信者は、ETFやインデックスファンド、債券へバイ&ホールドするという危ない橋も、みんなで渡れば怖くないと考え、投資仲間をつくって慰め合ったりしてるのです。

当然、ETFやインデックスファンドは市場が右肩上がりになることを前提としているので、バブル崩壊後の日経平均株価や、1964年800ドルだったNYダウが1982年になっても800ドルだった長期低迷期のような未来が待っていれば、ETFにバイ&ホールドしていても儲かりません。むしろ「長期投資戦略は死んだ!規律ある明確なルールに従い、短・中期で売買を繰り返すことが真の資産運用だ!」なんて言われる未来が待っているかもしれませんよ。

グッドラック。

(参照記事:ウォールストリートジャーナル