バフェット太郎です。

10月5日、英国のメイ首相は保守党大会閉幕の演説で、EUへの交渉案はハード・ブレグジット(強硬離脱)意識させるような発言だったため、市場が動揺しました。

この演説は、メイ首相、財務大臣、ブレグジット担当相、外務大臣、国際貿易担当の保守党の5人が、ほとんど誰にも相談せずに、5人のコンセンサスだけで、演説の内容を決めたそうです。

これは、同じ保守党員、同じ議会の議員も寝耳に水で、ほとんどの議員は知らなかったそうです。そのため、議会は混乱状態に陥っており、世界経済の波乱要因になっています。こうした不透明感から、英国ポンドは対ドルで売られており、31年ぶりの安値水準で推移しています。

多くの議員はソフト・ブレグジット(穏健離脱)を希望しているため、元労働党の党首デビット氏が、たった5人のコンセンサスだけでハード・ブレグジットを意識させるような決定は間違っているとし、EUへの交渉案は、議会全体で決めるべきだと主張しました。

英国の主権を取り戻すことを考えれば、EUへの交渉案は当然、議会全体の合意で決められた内容であるべきですが、議会全体の合意なんていうのは、自分たち(英国)にとって都合の良い内容にしかならず、交渉が難航することは容易に想像できます。

また、ポンドの下落は、すでに英国民の生活に影響を与えています。例えば先日、英蘭ユニリーバが原材料の輸入価格上昇を受けて、小売大手5社に10%の値上げを打診しました。ところが最大手のスーパーマーケットチェーンを展開するテスコはそれに応じず、価格の据え置きを希望すると思いきや、商品を丸ごとバックヤードに引っ込めてしまいました。また、その他各社もそれに追随するかたちで商品を引っ込めてしまいました。

ユニリーバのアイスクリームや洗剤の販売が一時中止になったり、パンに塗るジャムやバターなど、国民の朝食の食卓に必ず並ぶものが買いたくても買えない状態になるなど、ポンド安はすでに国民の生活に影響を与えているのです。(追記:14日までに両社は和解を表明したそうです)。

さて、今後の展開ですが、英国のソフト・ブレグジットはあり得ません。それはEUを離脱した方が、残留するよりも良い結果になるのなら、どの国もEUから離脱した方が良いということになり、野党が残留を支持する政権与党を批判する大きな材料になってしまうからです。そのため、EU加盟国は裏切り者の英国を懲らしめたいというよりは、自国の政治・経済のために、残留する方が良かったという結果にしなければならないのです。

12月4日にはイタリアが国民投票を控えており、その結果次第では、次に離脱するのはイタリアと言われているので、英国は見せしめになると思います。
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米ドルが変動相場制にして以降、過去45年間を振り返ると、1985年の1ポンド1.1ドルが最安値でした。現在の1.23ドルという水準は歴史的にみても極めて低い水準であるものの、今後の不透明感を考えれば1985年と同水準の1.1ドルという展開も十分あり得ます。

今後、外貨準備としての地位を奪われるなら、ブレグジットとわかっていてポンドを買っていた各国中央銀行も、一転して投げ売りが迫られると思います。そうなれば1ポンド1.1ドルもあながち非現実的な数字とは言えないでしょう。

英国が主権を取り戻すために自国の利益を追求するのなら、EU加盟国もまた、自国の利益を追求するだけです。結局、それは英国に跳ね返ってくるだけなのです。

グッドラック。

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