バフェット太郎です。

米10年債利回りの上昇は新たな経済危機の引き金になるのかもしれません。

【米10年債利回りの長期チャートと経済危機】
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歴史を振り返ると、1990年代、米10年債利回りが上昇しドル高になったことで中南米諸国は経済危機を迎えました。

(A)1993年から1994年にかけて、投資家の間でメキシコ投資がブームになりました。これはメキシコが米国とカナダとの間で進めてきたNAFTA(北米自由貿易協定)が合意したことにより、一部を除く全ての関税が撤廃されたことに加えて、低金利だった米国から高金利のメキシコへ投資資金が流入しやすい環境が整ったためです。

(B)しかし、1994年4月になると状況が一変します。FRB(米連邦準備制度理事会)がこれまで3%だった政策金利をわずか一年間で6%へと引き上げ、米10年債利回りも急上昇したのです。すると投資家たちはメキシコから資金を引き揚げ、米国へ投資資金を還流させました。

また、大統領選挙の遊説中に与党のルイス・ドナルド・コロシオ候補が暗殺され、政情不安が一気に高まったことも資金流出の要因になりました。メキシコの直接投資には工場建設や現地企業の買収による投資もありましたが、投資のほとんどは流動性の高い証券投資ばかりだったので逃げ足は速かったのです。

当時のメキシコの為替政策は「変動相場制」ではなく、「米ドルペッグ制」と言ってメキシコ政府が米ドルと連動することを目的に為替介入することでメキシコペソを安定させていました。「メキシコからの資金流出」とは「ペソ売りドル買い」を意味するため、メキシコ政府は慌てて「ドル売りペソ買い介入」を実施してメキシコ・ペソを下支えしましたが、結局は奏功せず、外貨準備高が急速に減少しメキシコ・ペソは暴落しました。

この一連の流れを「メキシコ通貨危機(1994)」と言います。同年にメキシコは「変動相場制」へ移行し、95年に危機が収束しました。そしてメキシコ株は上昇に転じ、2000ポイントだった株価指数は1999年は4000ポイントまで上昇したのですが、ペソも1ドル6ペソから1ドル10ペソと値下がりしていたので実質的なリターンは4年で20%程度です。

★★★

さて、FRBは来月にも利上げをすると思います。また、ドナルド・トランプ次期大統領は「財政支出の拡大計画」により債券を発行しインフラ投資をすると公約に掲げています。これら二つの大きな要因が、米10年債利回りを上昇させる要因になります。

先の歴史を振り返れば、米10年債利回りの上昇は新興国から投資資金流出を加速させ、経済危機への引き金となりかねません。しかも今回は7年以上にも及ぶ長期に渡った低金利政策の後のことなので、90年代の南米諸国経済危機以上の危機になるかもしれません。

グッドラック。

(参考文献:『賢者の投資』)

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