バフェット太郎です。

10月下旬、ラスベガスで開催されたIBM主催の「ワールド・オブ・ワトソン」に登壇したIBMのバージニア・ロメッティCEOは、「IBMはビジネス用AIでプラットフォーマー(基盤事業者)になる」と宣言しました。

IBMはクラウドの普及に伴い、これまで得意としていたメーンフレーム(汎用機)やコンサルティング事業で稼ぐことが難しくなってきました。そのため不採算事業の売却を余儀なくされ、全体の売上高は18四半期連続の減収で、利益率も鈍化が続いています。

現在のクラウド市場のシェアはアマゾン・ドットコム(AMZN)が31%と、二位のマイクロソフト(MSFT)の9%を大きく引き離しています。三位にIBMの7%、四位にアルファベット(GOOGL)が4%と続きます。

さて、IBMはクラウド市場での出遅れを挽回するために、AI(人工知能)型コンピューター「ワトソン」に社運を賭けています。例えば先日、IBMは自動車向け情報サービス分野でゼネラル・モーターズ(GM)と提携しましたし、後発医薬品のテバファーマスーティカル・インダストリーズとも、医療サービスの開発で協業することが決まっています。

その他にも米ビジネス向けチャットのスラックや、米オンライン教育ベンチャーのユダシティ、医療診断などの分野で独シーメンス、医師支援システムでフィンランド政府、自動応答システムなどで英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド、医療検査サービスで大手のクエスト・ダイアグノスティクスとの提携・協業が決まっています。

このように、医療、教育、自動車、金融など幅広い分野で提携・協業を進めることで、ビジネス関係者に「人工知能=ワトソン」というすり込みを狙っているそうです。

IBMは今年の2月に膨大な医療データを持つトゥルブン・ヘルス・アナリティクスを買収したり、上記の優良企業から膨大なデータを収集・分析しワトソンと組み合わせることにより、ヒトに難しかった経営や医療現場での意思決定の支援機能を果たすことを目指しています。一部報道によれば、すでにビジネスの現場で利用できるレベルまで機能が向上しているそうです。また、優良企業と提携・協業することで、彼らが抱えている多くの顧客を獲得することになるので、年内にも数億人もの人々が「ワトソン」の技術に触れることになるそうです。
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売上高の減少が続くなかIBMの復活は「ワトソン」にかかっているというわけです。
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チャートはIBMの日足チャートです。これまで弱気の下降トレンドチャネルを形成していたものの、大統領選挙が終わると一気にレジスタンス(上値抵抗線)をブレイクアウトしました。
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こちらはIBMの週足チャートです。165ドルにレジスタンスがあるものの緩やかな上昇トレンドになってくると思います。

グッドラック。
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