バフェット太郎です。

OPEC(石油輸出国機構)と非OPECが協調減産で合意しました。これは米同時多発テロを発端に原油需要が大きく落ち込んだ2001年以来15年ぶりのことです。

非OPECの減産目標は日量60万バレル減に対して、結果55万8000バレル減と目標を下回りました。これはロシアやオマーン、アゼルバイジャン、カザフスタンなどが目標を達成した一方で、メキシコが目標を下回ったためです。

メキシコは15万バレル減の目標に対して、結果10万バレル減でした。これはメキシコペソ安による外貨流出を背景とした経済不安が広がっているためです。

さて、2015年の世界の石油生産量は日量9167万バレルにもなるわけですが、今回の協調減産でOPECと非OPECの総減産量は日量180万バレルになります。これは全体の2%弱に当たる数字です。また、減産期間は2017年1月から6か月間です。

原油価格は2014年6月から2016年2月にかけて107ドルから26ドルと約-76%暴落していました。原油安を受けて産油国は財政難に陥り、早期に原油価格を上昇させる必要があったことに加えて、OPECのリーダーであるサウジアラビアが国営石油会社サウジアラムコのIPOを控えていることが、15年ぶりの協調減産を後押ししました。

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しかし、この協調減産により原油価格が一時的に上昇したとしても、その後の上値は重いと思います。なぜなら米シェールオイルの生産コストは1バレル60ドルだったのが50ドル台前半にまで下がってきているため、原油価格が55ドルを超える局面からシェールの増産が上値を抑えるためです。

ちなみに、米シェールオイル生産の主要7地区の生産量は2015年4月時点で日量504万バレルだったのが、2016年11月には443万バレルと減少傾向にあります。しかし、原油価格の上昇に伴い生産量が再び500万バレルを超え、さらに減産適用除外となったナイジェリアやリビア、そしてOPECの資格停止処分を受けたインドネシアが増産すれば、せっかくの減産量が相殺される可能性があります。

原油安とドル高、金利上昇は、産油国をはじめとした新興国経済に大きな打撃を与えると思います。

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1984年から2007年までの原油チャートです。原油価格が1バレル15ドルから25ドルのレンジで低迷した90年代、新興国経済は次々と崩壊していきました。これは原油安により財政収入が減少しただけでなく、ドル高と金利上昇によるドル建て債務の膨張による要因が大きいです。一方で、NYダウは2600ドルから1万1000ドルへ大きく上昇しています。原油安によるガソリン価格の低下が米国の消費を活発化させたことや、賃金の上昇による景気拡大期が長く続いたためです。

つまり、これからの投資戦略は米国「買い」新興国「売り」です。もしあなたのポートフォリオに新興国株が組み入れられているなら、後悔しないうちにポジションを解消しておいた方がいいですよ。

グッドラック。

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