バフェット太郎です。

ダウが2万ドルの大台を目前に足踏みしている中でPER(株価収益率)が高止まりしており、投資家たちは警戒感を強めています。

株価のバリュエーションを計る指標としてPERはメジャーですが、それを応用したシラーPERというものがあります。

シラーPERとは、1988年にロバート・シラー教授とジョン・キャンベル教授が編み出した指標であることから「シラーPER」と呼ばれています。EPS(一株当たりの利益)に対して何倍の価格で取引きされているかを表すPERに対して、シラーPERはインフレ調整後のEPSの10年移動平均値を用いてPERを計算するというものです。

そのため一時的な要因による収益変動や景気循環の影響を除くなど、ノイズを消すことができるため、実質的な株式価値を計る指標として投資家の間で人気があります。

また、人気になった背景にはロバート・シラー著「投機バブル 根拠なき熱狂―アメリカ株式市場、暴落の必然 」が2000年のITバブル崩壊の直前に発売されたことが挙げられます。当時、多くの市場参加者たちは90年代の株価大暴騰を「企業がITを活用し、ビジネスモデルを根本から再構築することにより生産性が向上した。従って株価の大暴騰は正当に説明できるものである」と考え、株価の大暴騰を肯定していました。そうした中でシラー教授はひとり米国経済に警鐘を鳴らしたわけです。
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また2005年に改訂版が出ると、2008年に金融危機が発生しました。この時もシラーPERは歴史的な高水準で推移していたため、投資家たちはシラーPERを称賛し、未来を見通す水晶玉のように崇めるようになりました。
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チャートは136年分のシラーPERです。現在の28.13倍という水準は過去136年を振り返っても世界恐慌直前の1929年とITバブル崩壊直前の2000年の二回しかありません。シラーPERに従えば、近い将来歴史的な大暴落が起こることが予想されます。

しかし、ペンシルベニア大学のジェレミー・シーゲル教授によれば、近年、会計原則の概念が定まらず、度々改定されているため、シラーPERが正常に機能していないと指摘しています。

従来の会計基準では、企業が業績を実際より大きく見せていましたが、最近ではその手口が通用しなくなり、実体に見合った正確な業績が反映されるようになりました。そのためシラーPERの計算をやり直す必要があるのです。

そこで計算をやり直すと、シラーPERは28倍から20倍程度に修正されるそうです。これは137年間の平均17倍と比べてやや高い程度で決して割高とは言えません。また、00年のITバブル崩壊直前の39倍と07年の金融危機直前の24倍と比べてもまだまだ低い水準であることがわかります。

従って、シラーPERを鵜呑みにして株を買ったり売ったりしない方がいいです。ちなみに大統領選挙直前のシラーPERは27倍だったので、もしこの時点で株を割高だと判断していたら、その後の10%分の値上がり益をみすみす見逃していたことになります。

グッドラック。
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