バフェット太郎です。

ロイターによれば、NGO(国際非政府組織)オックスファムが世界で最も裕福な8人の資産が、世界人口のうち下位50%の合計額とほぼ同じだったとの報告書を発表しました。

そもそもオックスファムとは、貧困撲滅のために災害や紛争などから人々の命を守ったり、生活の立て直しを支援して貧困を生み出す不公正をなくすための活動をしています。

報告書は貧富の差がかつてないほど拡大していることに加えて、大企業と超富裕層が税金を逃れ、賃金を引き下げ、政権に影響を与えることで格差の広がりに拍車をかけていると指摘しています。

ちなみに世界の大富豪8人は、マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ、世界一のファストファッションブランドZARA率いるインディテックス創業者アマンシオ・オルテガ、著名投資家ウォーレン・バフェット、メキシコのメディア王カルロス・スリム、世界最大のネット通販会社アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス、フェイスブック創業者マーク・ザッカーバーグなどです。

オックスファムが指摘する通り、確かに大企業や超富裕層は税金を逃れるためにあらゆる手段を講じますが、例えそれらの税金を徴収できたとしても、あるいは賃金を引き下げなくても、貧困の撲滅には貢献しません。例えば、ZARAは東欧や東南アジアなど新興国の縫製工場と提携して大量に服を生産しています。もし彼らの賃金が高ければ、わざわざインフラの整っていない新興国で生産するなんてことはしません。インフラの整っている一部の地域や先進国だけに絞って大量に服を作った方が自然災害や政治不安のリスクを軽減できるからです。
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では、インフラが整っていないことや政治不安を理由に避けられてしまった新興国の人々は、縫製工場の代わりにどういった仕事があるのでしょうか?そうです。何もないんです。誰もトルコの家電製品を欲しいと思わないし、バングラデシュの加工食品を食べたいとは思いません。建前ではキレイごとなどいくらでも言えますが、本音では安心安全を最優先するのです。

結果、貧しい国々は仕事がないがために治安が悪化してしまいます。また、子どもは学校教育をまともに受けられないことから貧困の連鎖が止まりません。そうした中では政治不安が高まり、インフラもまともに整備できません。さらにそうした国々に先進国は投資をしいたいとは思いませんから、ますます貧乏になってしまいます。従って、貧しい国々で先進国に負けない特殊な技術やサービスがない限り、賃金は低くなければならないのです。

また、そもそも格差とは悪いことなのでしょうか。バフェット太郎は「格差は善」だと考えています。想像してみて欲しいのは、日本一のお金持ちと言えばソフトバンクの孫正義やファーストリテイリングの柳井正なわけですが、彼らに100億円のお金が渡るのと、あなたの会社にいる社員100人にそれぞれ1億円ずつ平等に分配されるのとではどちらが世の中にとって良いことでしょうか。

孫正義に100億円が渡れば最新のハイテク技術やサービスに投資をして、新興国を含めた世界中の利便性を高めてくれるかもしれません。あるいは柳井正に100億円が渡れば高品質低価格の新アイテムを開発して貧しい国の人々でも高品質の服が着られるようになるかもしれません。

しかし、あなたの会社にいる社員100人にそれぞれ1億円ずつ平等に分配されるとどうなるでしょうか。ほとんどの社員は貯金をしたり、家や自動車のローンを返したり、旅行をしたり、セミリタイアの資金に充てたり、クソみたいな使い方しかしてくれません。

格差がない世界とはそういうクソみたいな世界のことです。どこかの王族がお金を子どもに相続させて、国民が貧しいままではいけませんが、民主主義、資本主義が中心の世界において、孫正義や柳井正が格差社会(資本主義の一面)を利用してお金持ちになって、貧しい国の人々の生活の質を少しでも良くしてくれた方がずっと貧困問題の解決につながるのです。

従って、貧困撲滅の解決は格差縮小にあらず、生活の質の向上にあるわけです。

グッドラック。

(推薦図書:「世界の貧困―1日1ドルで暮らす人びと 」「 世界の99%を貧困にする経済 」「 貧乏人の経済学 - もういちど貧困問題を根っこから考える 」「 善意で貧困はなくせるのか?―― 貧乏人の行動経済学 」「 なぜ貧しい国はなくならないのか 正しい開発戦略を考える 」)

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