バフェット太郎です。

NYダウ株式市場が11営業日連続最高値更新する中で、投資家の誰もが浮かれているわけではありません。ポートフォリオに占める現金と債券の組み入れ比率が全体の50%を超えている投資家は少なくなく、彼らはトランプラリーの恩恵をあまり享受していないのです。

なぜ彼らは株に積極的に投資していないのでしょうか?何が彼らを臆病にさせたのでしょうか?過去を振り返って原因を考察してみたいと思います。

2013年1月、当時の史上最高値である1万4000ドルを超えて以降、市場参加者たちの多くが近く弱気相場が到来すると覚悟していました。これは「史上最高値を超えている」という心理的な見方だけでなく、PERなどバリュエーションを客観的に表す指標が割安感を示していなかったからです。しかし、ダウはその後1万6000ドルを超え、1万8000ドルも超え、ついには2万ドルを超えたのにも関わらず、30年ぶりとなる11営業日連続最高値を更新してしまいました。
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NYダウの週足チャートです。2015年末、1万8000ドルだった株式市場がついに崩れました。これはFRBが政策金利を9年半ぶりに引き上げたためです。多くの投資家はここから一気に弱気相場入りすると考えて、ポートフォリオに占める現金比率を引き上げたものの、三か月後には再び1万8000ドルの大台に回復してしまいました。

また、それから三か月もしないうちに大方の予想に反して英国が国民投票にてEU(欧州連合)離脱を決定しました。ここでもまた、世界の株式市場は弱気相場に入ると多くの投資家が予想して株を投げ売りし、現金比率を高めてしまいました。

そしてそれから四か月後の米大統領選挙でも、大方の予想に反して共和党ドナルド・トランプ氏が勝利したことを受けて株を投げ売りして現金比率を高めた人が多かったです。これはトランプ大統領が中国やメキシコに対して高率の関税をかけることやメキシコとの国境沿いに壁を建設すること、そして移民・難民の受け入れを制限するといった保護主義を嫌気して株式市場は弱気相場入りすると考えられたのです。しかし、株価はそこから一気に2万ドルを超えていきました。

このように、先行き不透明なイベントがいくつもあったために投資家が臆病になったと言えます。しかし皮肉にも投資家の心配を裏切るように株式市場は上昇していったのです。投資の格言には「相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」という米国の著名投資家ジョン・テンプルトンの言葉がありますが、今はまさに「懐疑の中で育っている」と言えそうです。また、それを裏付けるような調査結果も出ています。

米個人投資家協会によれば、個人投資家に今後6か月の見通しについて尋ねると38.5%が「強気」の姿勢を示した一方で、32.3%が「弱気」を示しました。
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(出所:米個人投資家協会

このように、多くの投資家は依然として将来の見通しに懐疑的であることから、現金比率を高めに維持していると考えることができます。

しかし、相場が「懐疑の中で育つ」のなら、この上昇相場はまだ続くことが予想され、現金比率を高めに維持している投資家たちは指をくわえて眺めているだけになりそうです。

グッドラック。

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