バフェット太郎です。

永久保有を誓った筈なのに、一年も経たずして売却する個人投資家は少なくありません。

なぜなら、優良株を手に入れて、バイ&ホールドすると誓った日から、日々の値動きによるストレスから解放されて、枕を高くして寝られると思っていたはずなのに、日々のニュースは保有している優良株の低迷と、暗い未来を暗示するものばかりだからです。

例えば、石油メジャー大手のエクソン・モービル(XOM)は原油価格の低迷を受けて業績が冴えません。また、原油の需給問題は、シェールオイル企業の台頭が価格抑制機能を果たしているため、産油国が協調減産しても効果は限定的で、一向に解決の兆しが見えません。この記事を書いている7月31日時点で、原油価格は49ドル台で推移していますが、多くの投資家たちは50ドルを上回ればシェールオイル企業による増産が相次いで、供給過剰懸念から再び原油価格が押し戻されると予想しています。

また、米たばこ最大手で「マールボロ」を擁するアルトリア・グループ(MO)は、FDA(米食品医薬品局)がたばこのニコチン含有量を中毒にならない水準に引き下げることを義務付ける新規制を提言したことで株価が急落しました。ニコチン含有量の引き下げは、喫煙者の減少が予想されるので、業績の悪化が予想されているのです。

しかし、アルトリア(MO)を含むたばこ大手各社はこれまでにも幾多の試練を乗り越えてきました。1950年代半ば、「たばこの喫煙と癌」との関係を指摘する多数の医学的報告書が相次いで発表されてから、たばこ各社はフィルター付きのたばこを販売するようになったり、食品・飲料・日用品企業を買収するなどして多角化経営に舵を切りました。
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また、70年代にはテレビやラジオを利用した宣伝が法律によって禁止され、印刷媒体でしか宣伝できなくなったことで、たばこ業界の衰退は加速すると予想されました。加えて、90年代、「チェスターフィールド」や「L&M」を擁するたばこ大手のリゲット・グループが集団訴訟で莫大な和解金を支払うことで合意したことが伝わると、全米の各州で訴訟問題が勢いづき、フィリップ・モリスは莫大な損賠賠償金支払いに耐えられず、破産法適用を申請するしかないと訴えるまでに追い詰められました。

フィリップ・モリスはその後アルトリア・グループと社名を変更し、米国外事業をフィリップ・モリス・インターナショナル社としてスピンオフ(分離独立)しました。

こうした時代背景があるなかで、たばこ株は長期的に上昇を続けてきました。また、訴訟問題に揺れた90年代、フィリップ・モリスの株価は12年もの間低迷していましたが、配当を通じて株主に積極的に還元したことで、配当を再投資し続けた投資家はその後の上昇相場で報われました。

★★★

どれだけ優良株だと言っても、いつだって順風満帆というワケではありません。景気局面だけでなく、技術革新や業界を取り巻く環境の変化、そして法律による規制や消費者の嗜好の移り変わりなど、企業の未来はいつだって不確実性に満ちています。

そのため、永久保有すると誓える銘柄は、一握りの限られた銘柄しかありません。それすら日々の勉強で自信を深めていくしか保有し続ける手立てがないとするなら、多くの個人投資家にとって個別株投資よりもS&P500ETFやインデックスファンドなどのパッシブ運用で資産形成を目指した方が賢明なのかもしれませんね。

グッドラック。

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