バフェット太郎(@buffett_taro)です。

14日のNYダウ株式市場は前日比-76.77ドル(-0.31%安)の2万4508.66ドルと反落して取引を終えました。下落した主な要因は税制改革法案の行方に不透明感が高まったためです。

これまで米国株式市場は共和党上院幹部のオリン・ハッチ財政委員会委員長が、上下両院の共和党指導者が税制改革法案の一本化で合意したことを明らかにしたことを好感して上昇していました。

この合意は法人税率を現行の35%から21%に引き下げるというものなので、法案が通過すれば当然企業の純利益が押し上げられます。

しかし、ここへ来て暗雲が立ち込めつつあることが、この日の相場の重しになりました。

そもそも、税制改革法案の可決には上院、下院でそれぞれ採決する必要があるのですが、上院では共和党が52議席、民主党が48議席を占めており、共和党が法案を可決するためには(民主党が全員反対したとしても)造反者を二名までに抑えれば可決できます。

ところが、共和党のマイク・リー上院議員とマルコ・ルビオ上院議員の二名が子どものいる低所得世帯の税控除を拡大しない限り法案を支持しないと表明しました。

さらに、先月、ボブ・コーカー上院議員は上院の税制案に反対票を投じており、まだ財政赤字の拡大を懸念していることから今回も反対票を投じる可能性があります。

もし、この三人が反対票を投じ、税制改革法案が通過しないとなれば、減税に期待していたマーケットは失望感から急落することが予想されます。ちなみに採決の日程は上院が18日、下院19日に予定されています。
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さて、法人税率が現行の35%から21%に引き下げられれば、最もその恩恵を受けるセクターは小売セクター、通信セクター、銀行セクターなど、国内の稼ぎが大きく実効税率の高い企業が特に追い風となります。一方で、一部のハイテク企業や製薬企業は実効税率の低い外国の子会社を利用して課税逃れをしているため恩恵は少ないです。

また、通信セクターは減税だけでなく「ネット中立性」原則の撤廃が決定したことも追い風となります。これが撤廃されるとベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)をはじめとした通信会社は、回線に負荷がかかるネットフリックス(NFLX)などの動画配信会社に対して高速通信を提供する代わりに、特別料金を課すなどが可能になります。

これによりベライゾンやAT&T(T)の収益力が高まる一方、特別料金を支払えない新興ネット企業は不利な競争を強いられる可能性があります。とはいえ、アルファベット(GOOGL)やアマゾン・ドットコム(AMZN)、フェイスブック(FB)などに対抗できるような新興ネット企業が生まれていないことを考えると、「ネット中立性」が諸悪の根源なんてことにはなりません。

大手ハイテク企業は先行者優位の立場を利用して莫大なキャッシュを稼ぐ一方、外国の子会社を利用して課税逃れしつつ、国内のインフラにタダ乗りしている状態なので、すでに新興ネット企業は不利を受けているからです。

確かに「ネット中立性」の撤廃でネットフリックスに誰も対抗できなくなったなとは思いますが、それはグーグルやフェイスブックに誰も対抗できてないのと同じだし、グーグルやフェイスブックに対抗できないからと言ってスタートアップが産まれないとかイノベーションの妨げになるとかならなかったように、別にネットフリックスに対抗できないからってスタートアップが産まれないなんてことにはならなにわけです。

その他、金融セクターも減税だけでなく利上げの恩恵を受けると見られるので、税制改革法案が通過すれば小売、通信、金融の三大セクターに投資資金が流入しやすくなります。また、景気がこのままさらに拡大することが予想されている中で、一般消費財セクターや資本財セクターにも注目が集まります。

グッドラック。

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