バフェット太郎です。

バンガード・インベストメンツ・ジャパンによれば、「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)」の経費率を0.11%から0.10%へと、0.01%ポイント引き下げるとのこと。

そもそも「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)」とは、世界47カ国の株式8000銘柄で構成される指数に連動することを目指したETFで、全体の54%を米国株、8%を日本株が占めている世界分散型ETFです。

インデックスファンドやETFのコスト引き下げ競争は年々激しさを増しており、改善の兆しが見えません。コストの引き下げは、短期的にも長期的にも投資家のメリットになり得るように思えますが、実は長期的に見ればデメリットにもなり得る場合もあります。

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今から50年以上も前、シカゴ大学のユージン・ファーマ教授が「効率的市場仮説」を発表しました。この「効率的市場仮説」とは、株などの資産価格はあらゆる情報を瞬時に織り込むため、常に適正な価格が値付けされているという概念で、言い方を変えれば「市場平均に勝つことはできない」ということです。

こうした考えが広がった結果、個人投資家は銘柄選択による個別株投資を放棄し、インデックスファンドやETFに投資することで市場平均並みのリターンを目指すようになりました。
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(出所:ウォールストリート・ジャーナル

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グラフはパッシブファンドとアクティブファンドに流れる投資資金の流出入を表していて、90年代以降、パッシブファンドへ投資資金が流入しているのに対して、アクティブファンドは2007年のサブプライムローン問題以降、流出が続いていることが確認できます。

ところでインデックスファンドやETFに投資するパッシブ運用者には、どうも低い手数料の「インデックスファンドが正義」で、高い手数料を請求する「アクティブファンドは悪」みたいな考え方があり、金融危機以降、アクティブファンドは情弱をカモにしていると散々叩かれてきました。

さらに07年以降、スマホの普及により個人がインターネットに繋がる時間が増えたこともアクティブファンド叩きに拍車をかけたように思えます。なぜなら、インターネットの性質が「正義感と正論で悪を徹底的に叩く」ことが一種の「遊び」みたいになっているからです。

もちろん、運用パフォーマンスを最大化させたいなら手数料は低いにこしたことはないので、手数料の高いアクティブファンドが淘汰されていくのは必然であるわけですが、「低い手数料こそ正義だ」みたいな価値観は次第に同じパッシブファンドにも向けられるようになり、業界内が混沌としてきました。

今、パッシブファンドの業界内で何が起きているかというと、価格競争の深刻化と寡占化です。すでにETFの運用資産総額の85%をブラックロック社、バンガード社、ステート・ストリート社の三社が集めていて、規模の大きさと手数料の低さで四位以降を寄せ付けません。

また、この三社の間でも価格競争は収まらず、改善の兆しも見えないため、運用会社各社のマージンは縮小の一途を辿っています。

これは個人投資家にとっては朗報ですが、運用会社は収益機会の縮小で誰も企業を分析・調査しなくなるので、企業業績の予想と結果の乖離が大きくなり、ボラティリティが高まることを意味します。

ボラティリティが高まれば、投資家はパニックになって狼狽売りに走りやすくなるだけでなく、アクティブファンドによる収益機会が拡大することが予想されます。

つまり、個人投資家の「低い手数料こそ正義だ」みたいな価値観は、行き過ぎれば自分自身へのしっぺ返しとなり、アクティブファンドの優位性が増すというわけです。

グッドラック。

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