バフェット太郎です。

FRB(米連邦準備制度理事会)が政策金利を引き上げる中、ブラジル中銀は金融緩和を維持するとの姿勢を示しているため、為替はドル高レアル安に動きます。

また、ブラジル企業は大量のドル建て債務を抱えており、米国金利の上昇とドル高は債務を膨張させてしまうことに他ならないためリスクは大きいです。とはいえ、レアル安はブラジルの輸出競争力を押し上げるため、ブラジル株がボコボコに売られている局面はむしろ投資の絶好のチャンスと言えます。

ただし、ブラジル株投資はトレンドに乗った「モメンタム株投資」と相性がいいですが、「バイ&ホールド」といった長期投資にはあまり向いていません。これはブラジル市場の特異性に問題があるからです。

そもそも株式投資で成功したければ、企業が稼ぐ利益が誰に還元するかに注目しなければなりません。たとえば、米国株の場合、企業が稼いだ利益は配当や自社株買いを通じて積極的に株主に還元されます。一方で日本株の場合は企業が稼いだ利益は内部留保に充てられるため、株主はなかなか恩恵を受けることができません。

そのため、過去18年間を振り返ってみても、S&P500種指数の円建てパフォーマンスが+99.5%だったのに対して、日経平均株価はわずか16.5%に過ぎませんでした。
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このように、投資家は企業が稼いだ利益は誰に還元されているのかに注目しなければなりません。

さて、ブラジル株の場合はどうかと言うと、企業が稼いだ利益の多くは労働者に分配され、株主は軽視される傾向にあるため、長期投資には不向きと言えます。
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たとえば、WHO(世界保健機構)の調べによると、国民一人当たりの所得は日本が3万7630ドルに対して、ブラジルは1万4750ドルと半分以下しかありません。

しかし、ブラジルの労働法は過剰に労働者を保護しているため、退職金積立制度や社会保険、労働災害保険などの諸経費を含めると、企業は賃金と同額程度のコストがかかっています。

つまり、ブラジル企業は国民一人当たりの所得が1万4750ドルだとしても、実質3万ドル近い負担を余儀なくされているわけです。そのため、ブラジルの街には毎日仕事をせずに遊んでるだけの40~60代の人たちがゴロゴロいるのです。彼らは退職金積立制度のおかげで、悠々自適のセミリタイア生活を送れています。

この退職金積立制度のことを正式にはFGTS(勤続年数保障基金)といって、失業保険と年金を足したような制度になります。たとえば女性は25年間、男性なら30年間働くと退職金が貰えるため、18歳から働き始めた人は43~48歳で年金生活ができるんです。

この制度は労働者の立場に立てば最高ですが、株主の立場に立てば最悪です。なぜなら企業は稼いだ利益を事業に再投資したり、配当や自社株買いを通じた十分な株主還元ができないからです。

一方で米国のように労働者の立場が弱い国は投資家にとって最高と言えます。なぜなら無駄な経費を払わずに済み、稼いだ利益を事業に再投資したり、配当や自社株買いを通じて積極的に株主還元できるからです。

こうした構造的な問題から、ブラジル株への長期投資はオススメできないものの、短期的な値上がり益を追求したモメンタム投資ならアリです。

グッドラック。

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