バフェット太郎です。

米中貿易戦争が激化する中、トルコで通貨危機の不安が広がっています。

【トルコリラ/ドル】
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トルコリラは年初から22.3%も暴落しています。これは、利上げに否定的なエルドアン大統領が再選を果たしたことに加えて、その後、自身の娘婿を財務省に指名するなど、経済・金融政策を実質的に支配しようとしていることが懸念されているためです。

また、エルドアン大統領はトルコ中央銀行法も改正したことも懸念材料となっています。従来、中銀総裁は内閣が指名し5年の任期とされ、再任されることがあるとされていましたが、この条文が削除されました。加えて、副総裁についても5年の任期や任命にあたり総裁の推薦を必要とする条文が削除されました。これは中銀総裁と副総裁はエルドアン大統領が指名することになることを示唆しています。

そもそも、トルコリラがドルに対して急落している原因は、米国が政策金利を引き上げているためです。投資マネーは金利の低い所から高い所へと流れる傾向にあるため、FRBの利上げにより世界の投資マネーが米国に還流しているというわけです。

これを防ぐ方法は自国の政策金利を引き上げることです。しかし、金利が上昇すれば企業による投資や個人消費が落ち込むため、景気を悪化させる原因になりかねないなどジレンマに陥ることになります。

とはいえ、どちらがマシかと言えば、金利を引き上げて資金の流出を食い止めることです。そのため、トルコ中央銀行は利上げに肯定的だったわけですが、利上げに否定的なエルドアン大統領が実質的な支配を強めることが予想されるため、政策金利は将来引き下げられる公算が高く、通貨危機に発展する可能性が高いです。
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通貨危機が起きれば、政府や企業の対外債務返済能力が脅かされ、デフォルト(債務不履行)のリスクが高まります。トルコの対外債務は対GDP(国内総生産)比で53.4%と巨額の資金を借り入れているため、企業も経済も通貨安に脆弱な体質になっています

実際、トルコでは電力会社が国内の銀行にとって最大級のリスクとして浮上してます。

これまでトルコの電力会社は低金利で巨額のドルを借り入れ、発電・送電の新規事業や買収に投資してきました。しかし、電力会社はトルコリラ建ての売り上げしかありませんから、当然返済が困難になることからデフォルトリスクが高いです。

仮にトルコで通貨危機による企業のデフォルト連鎖が始まれば、投資家らは「第二のトルコ」を探し始め、対外債務が対GDP比で同様に大きい新興国が売りを浴びせられる可能性が高いです。

新興諸国の対外債務の対GDP比は以下の通りです。
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上記の新興国は注意しておいた方がよさそうです。

ちなみに、米国は好調な経済指標と労働市場に支えられているため、影響は限定的だと思います。

グッドラック。

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