バフェット太郎です。

ネット小売り最大手のアマゾン・ドットコム(AMZN)は50週移動平均線をサポートラインに反発しようとしています。

【アマゾン・ドットコム(AMZN)週足】
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アマゾンの株価は直近の高値2033ドルから一時1476ドルと、わずか一ヶ月で27%も暴落しました。今回の暴落を受けて、個人投資家の中には損切りをした人もいれば、依然として買い持ちしている人もいます。

損切りが正しいか、あるいは買い持ちが正しいかということは一概に言い切ることはできません。なぜなら、たとえばグロース株投資の場合、買値から5~8%値下がりしたら損切するというルールを設けるのが一般的なので、1600ドル以上で購入した投資家は損切りを余儀なくされるからです。(一方で1400ドル未満で購入した投資家は損切りを免れることができました。)

しかし、タイミングを見計らった売買を繰り返してもゼロサムゲームとなり、売買手数料と譲渡課税分損するだけなので、損切りは正しい判断であるものの、手元資金を再び投資に回しても、成功できるかどうかはわかりません。

また、買値が1000ドル未満で、依然として含み益が50%以上乗っている投資家も少なくないと思いますが、彼らとて必ずしも楽観的になれるわけではありません。

たとえば、小売世界最大手のウォルマートの企業業績を振り返ると、00年53億2400万ドルだった純利益は11年間で三倍の163億8900万ドルにまで成長しました。

【ウォルマート(WMT)純利益:2000ー2011】
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しかし、純利益は三倍になったものの、株価はほとんど横ばいでした。

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【ウォルマート(WMT)株価推移:2000ー2011】
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なぜ、純利益が三倍に成長しているのにも関わらず、株価は横ばいだったのでしょうか。結論から言えば、バリュエーションが修正されたためです。

そもそも株価はEPS(一株当たりの利益)×PER(株価収益率)で求められます。

たとえば、EPS10ドル、PER60倍の場合、株価は600ドルになるわけですが、EPS30ドル、PER20倍でも株価は600ドルです。PERは投資家が将来期待する利回りを意味しますから、ウォルマート株を巡っては時間の経過とともに投資家の期待がしぼんでいったことがわかります。

ちなみに、ウォルマートのPERが割高だった背景には、1972年に上場して以来、一貫して増収増益を達成してきた実績が背景にあります。多くの投資家はウォルマートが今後も増収増益を達成し続けることを期待しましたし、実際12年に減益に落ち込むまで40年連続で増収増益を達成しました。

しかし、高すぎる期待には届かず、売上高と利益成長率が鈍化するなかで株価が低迷した結果、00年から11年までの11年間、株価はほとんど上昇しませんでした。

★★★

さて、投資家の中にはアマゾン株を1000ドル未満で購入し、現在50%以上の含み益を抱えている人もいると思います。彼らは企業業績の成長に伴う株高を期待しているわけですが、今後売上高と利益が鈍化する中で、投資家の期待がしぼめば、00年代のウォルマートのように株価が低迷してしまうかもしれません。

仮に、アマゾン株を一年前に1000ドルで購入し、年率リターン+50%の凄腕投資家も、アマゾンの株価が今後10年にわたって横ばいで落ち込むなら、11年間の年率利回りは3.75%にまで落ち込んでしまいます。

経験の浅い未熟な投資家ほど、業績が拡大すれば株価も一緒に上昇するものだと勘違いしていますが、投資家の期待値が高い銘柄においては必ずしもそうなるわけではありません。

また、現在含み益を抱えている投資家も、長期で保有したからと言って株価が低迷し続ければ、年々パフォーマンスが漸減されていくだけですし、グロース株をセオリー通りに損切りして売買を繰り返している投資家も、長期的に見れば手数料と税金分損するだけです。

そのため、多くの投資家は個別のグロース株に投資して高い値上がり益を狙うより、一部の優良ディフェンシブ銘柄はS&P500ETFに投資して配当を再投資し続けた方が賢明です。もちろん、あなたが一握りの天才投資家なら話は別ですが。

グッドラック。

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