バフェット太郎です。

22日付のウォールストリートジャーナル によればベネズエラがデフォルトの危機に陥っているとの記事。

世界最大の原油確認埋蔵量を誇るのは、サウジアラビアでも米国でもありません。南米ベネズエラです。普通、資源大国に豊かな国というイメージを持ちますがベネズエラはいま破綻の危機に瀕しています。

二年前まで原油価格は100ドルを超えて取引されていましたが、いまではわずか30ドル台前半で取引されています。石油の輸出はベネズエラが外貨を獲得する唯一の手段ですから、収入の落ち込みは実体経済に影響を及ぼし、国内は慢性的なモノ不足が深刻化しています。

原油価格が三分の一(-67%)なら収入も三分の一(-67%)になるかというとそれは違います。ベネズエラの石油生産の損益分岐点は17~18ドルです。100ドルで取引された場合の粗利は82~83ドルですが、原油価格が30ドルになれば粗利は12~13ドル程度なので、収入はおよそ-85%下落することになります。ちなみにベネズエラ産の石油とは重油のことなので、国際価格はさらに低い23~25ドル程度しかありません。目減りした利益の使い道はドル建て債務の返済に充てられるため、国内では生活必需品がほとんど手に入らない状態が続いています。

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バークレイズのエコノミストは年内のデフォルトを示唆しています。これは原油価格が32ドルで推移した場合のシナリオですが、国債や対外債務の支払いだけで原油収入のほどんどを充当しなければならないからです。そのため、ベネズエラ国債の保証コストは大暴騰しています。保証コストを逆算すると、投資家は来年中に80%の確率でデフォルトすることを織り込んでいます。

スーパーマーケットでは紙おむつやミルクなどの生活必需品を求めて長蛇の列ができるだけでなく、官僚たちの腐敗、日常的な暴力犯罪が蔓延しているため、国民は国外へ脱出を試みています。しかし現在の為替レートを考えると容易ではないようです。

デフォルトした場合、石油関連のタンカーや製油所などの資産が債権者の手に渡ります。最終的に誰が買いとるかはわかりませんが、石油価格の下落は業界再編を促し、財務的に強い企業ほど石油関連資産を二束三文で手に入れる可能性が高いです。

ちなみに財務体質の強い米石油株といえばエクソン・モービル(XOM)です。
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