バフェット太郎です。

優良ディフェンシブ株として知られるジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の株価が、わずか一日で10%暴落したことを受けて、多くの個人投資家が個別銘柄への投資に疑心暗鬼になっています。

そもそも株価が暴落した主な要因は、同社製品のベビーパウダーに使われているタルクに発がん税物質のアスベストが含まれていたことを巡って、ロイター通信が「少量のアスベストが含まれていたことを同社は何十年も前から認識していた」と報じたためです。

仮にこれが事実だと認められれば、同社は発症リスクの警告を怠ったとして、莫大な賠償金を請求される可能性があり、一時的に財務内容が悪化する可能性があります。

【ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)】
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チャートを眺めると200日移動平均線をサポートラインに支えられたことが確認できます。今後、この水準をさらに割り込むのか、あるいは値を戻すのかが注目されます。

さて、投資の世界ではタイミングを見計らった売買は手数料と税金分を損するだけなので、マイナスサムゲームと言われています。一方で買い持ち戦略はプラスサムゲームと言われていて、投資家は優良株に投資したらそれを長期で保有し続けるだけで良いと言われています。

しかし、一見簡単そうに見える買い持ち戦略ですが、どんな優良株も20~50%暴落する可能性があり、多くの投資家らはそうした暴落局面で将来を悲観し、絶望の中で買い持ち戦略を放棄してしまうという難しさがあります。

そのため、投資家は暴落に慣れる必要があります。

さて、優良ディフェンシブ株として知られるジョンソン・エンド・ジョンソンも例外ではなく、同社の株価は2010年以降の9年間で直近の高値から10%以上下げたケースが5回ありました。また、そのうち一回は20%を上回る下げ幅を記録しました。

【ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ):2010ー2018】
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過去を振り返れば、今回の下げ幅は過去の急落と比べて比較的小さいものだということがわかります。仮に200週移動平均線まで値を下げるとすれば、高値から-23.6%安と15年の暴落に匹敵する下げ幅を記録する可能性があります。

【ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ):2000ー2009】
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しかし、2000年代の10年間を振り返ると、10%を超える下げは10年間で12回、うち20%を超える暴落は4回あったことを考えると、たとえ高値から23.6%暴落したところで、過去の暴落と同水準の下げ幅を記録するに過ぎないことがわかります。

投資家の中には「(今回の10%の急落は)将来50%に下げ幅を拡大する暴落の始まりにすぎない」と考える人もいるかもしれませんが、そうした悲観論だって過去に見られたことでもあるわけです。

たとえば、過去20%級の暴落で株を手放した投資家たちは、まさか自分が大底で株を売っているとは思ってもいません。当然ですけれども彼らはみな「大暴落の前の賢明な損切り」と考えて株を手放しているわけです。

そしてそれは今回も同じでしょう。

なぜなら、同社のベビーケア部門は売上高全体の2%にすぎず、「ベビーパウダー」はさらにその内の一部でしかありません。仮にベビーパウダーが訴訟問題になっているからという理由で、医療現場が腫瘍薬の「ダラザレックス」の使用を止めるなんてことはないはずです。

また、中には「その他の消費者向け製品の売上高に影響を与える」と考えている人もいるかもしれませんが、たとえば「リステリン」がジョンソン・エンド・ジョンソンの製品だと意識して購入している人はほとんどいませんし、訴訟問題を懸念して「バンドエイド」の購入を控えるなんて人もいません。

そう考えると、収益性へのリスクが高まったわけではなく、財務へのリスクが高まったといえます。

そして財務へのリスクは収益力で相殺することができるので、時間の経過とともにリスクは逓減していきます。そのため、投資家は短期的な暴落にパニックに陥るのではなくて、優良株を長期保有するために、暴落やスキャンダルに慣れなければなりません。

グッドラック。

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