バフェット太郎です。

国際NGO「オックスファム」によれば、世界で最も裕福な26人が、世界人口のうち所得の低い半数に当たる38億人の総資産と同額の富を握っているとのこと。オックスファムは格差拡大を是正するために、富裕層への増税が必要だと主張しています。

しかし、富裕層に増税して格差拡大が縮小すれば世の中は良くなるのでしょうか?そもそも格差拡大は世の中にとって悪いことなのでしょうか?格差拡大が貧困を加速させている原因になっているのでしょうか?

世界一の大富豪であるアマゾン・ドットコム(AMZN)の創業者ジェフ・ベゾス氏の昨年末の資産は1120億ドル(約12兆2800億円)ですが、総資産のわずか1%が、人口1億0500万人のエチオピアの保険医療予算全額に匹敵するそうです。

一方、世界人口のうち経済的に恵まれない半数に相当する38億人の資産総額は、昨年の一年間で11%減少しました。

オックスファムは、格差拡大によって貧困対策の効果が損なわれ、経済的な打撃と人々の怒りを買っているとし、各国政府が保険医療や教育といった公共サービスに割く予算を削減する一方で、富裕層に対する税制優遇を続け、経済格差をさらに深刻化していると警告しました。

たしかにお金持ちからお金をむしり取り、それを貧しい人たちにバラまくことで貧しい人たちの生活は一時的に豊かになるかもしれません。しかし、貧しい人たちにとって自分たちの生活を豊かにする術が「お金持ちからお金をむしり取ること」であるならば、自分たちの生活がいかに困窮状態にあり、悲惨な生活を余儀なくされているかをアピールすることが仕事になってしまいます。

事実、アフリカではわざと手足を切り落とした子どもを難民キャンプ内で生かし、欧米メディアに報道させることで支援金を募る例も見られます。

こうしたことから、世界の同情を引くことで貧困対策をすることは、悲惨が現実をより悲惨にさせる可能性が高いです。そのため、それ以外の方策を考える必要があります。

また、そもそも世界の貧困対策は進んでいるので、「格差拡大が原因で貧困が進んでいる」という誤解を解く必要があります。
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(出所:Our World in Data

チャートは絶対貧困に暮らす世界の人口に対して、絶対貧困に暮らす人々の割合と絶対貧困でない人々の割合を表しています。チャートを眺めると、過去200年間で絶対貧困に暮らす人々の割合が急速に減少していることがわかります。特に第二次世界大戦以降、加速度的に減少しています。
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このチャートは絶対貧困に暮らす人々の数と絶対貧困でない人々の数を表しています。第二次世界大戦以前、世界人口のほとんどは絶対貧困の中で暮らしていて、絶対貧困でない人々の数はごくわずかでした。

しかし、その後絶対貧困から抜け出した人々が加速度的に増え、貧困の撲滅が進んでいることがわかります。

では、何が貧困の減少に繋がったのでしょうか。
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過去200年の各種データを眺めると、貧困が加速度的に縮小を始めた戦後以降、民主主義が拡大し、その後基礎教育、識字能力が拡大し、それに伴い児童死亡率も急速に減少していることがわかります。

つまり、貧困撲滅には民主主義の拡大と基礎教育が必要であることがわかります。

オックスファムが指摘する通り、格差拡大が進んでいるものの、それが原因で貧困が進んでいるわけではありませんし、むしろ貧困は減少しています。また、お金持ちからお金をむしり取って、ワクチンで子どもたちの命を救ったとしても、彼らに教育を受ける機会がなければ貧困の連鎖は止まりません。

とはいえ、学校を建設すればその国の子どもたちの学力が自動的に向上するわけでもありません。子どもたちが毎日安全に学校に通学するためにはインフラ整備が必要不可欠ですし、なにより家での仕事を止めさせる必要があります。

それは子どもたちの親に安定した仕事を与えたり、補助金を出す必要があるかもしれません。加えて、今までまともな教育を受けてこなかった世代が真面目に働き続ける必要もあります。

それに掛かる費用は莫大で、お金持ちが資産の1%を寄付しただけでは救えない額なのです。

いずれにせよ、世界の人々は絶対貧困から抜け出しつつあることを考えると、過去よりも現在、現在よりも未来の方がずっと素晴らしい未来が待っていることに変わりありません。

グッドラック。

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