バフェット太郎です。

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の18年第3四半期(10ー12月期)の累積収益額が、前期比-9.06%(-14兆8000億円)と減少したことを受けて、共産党の小池晃書記局長がツイッターで「14兆円すったら、年金受給者は怒る」とツイートし、国会でもこの問題は取り上げていくとしました。

【GPIFの累積収益額の推移:2001ー2018】
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ただし、運用を開始した2001年度以降のGPIFの累積収益額は56兆7000億円(年率+2.73%)であることを考えれば、「14兆すった」わけではなくて、71兆5000億円だった含み益が「14兆円減った」だけだということがわかります。

小池氏は二番目のツイートで、「国民一人当たりにすると11万4000円の損失」としていますが、01年度以降の累積収益額で表せば「国民一人当たりにすると43万7000円の利益」となります。

ちなみに、一部ネット上で運用益が低すぎるとの指摘もありますが、運用資産額が150兆7000億円と巨額であることに加えて、ポートフォリオの半分を債券で運用していること、そして第3四半期にドル安が加速したことを考えれば、決して悪い数字ではありません。

さて、このようにGPIFがまともな運用をしていることから、小池氏が国民をミスリードしていることがわかります。とはいえ、小池氏の目的はGPIFの運用状況を正しく国民に伝えることではなく、自民党と資本主義社会を批判することなのだから、小池氏の間違いを指摘したところで意味はありません。

共産党には共産党を支持する人たちがいて、小池氏らは支持者のために政治活動をしています。別の言い方をすれば、小池氏ら共産党は世の中に対して怒っている人たちの不満の声をくみ取ることをしているわけです。

たとえば、世の中には資本主義社会を一方的に否定する人たちや、株をギャンブルで悪いことだと考える人たちがたくさんいます。そのため、小池氏は「自民党が資本主義社会が生み出したマーケットという巨大なカジノで、国民のお金でギャンブルをして損をした」というイメージが支持者に伝わるように、「含み益が減少した」とは言わずに「(14兆)すった」と表現したのです。たとえそれが多くの国民をミスリードすることにつながったとしても…。

こうしたことから、我々が小池氏の発言を批判しても何も意味がありません。世の中には信じたいことだけを信じる人たちがゴマンといることを知っているからです。そのため、我々一人一人にできることと言えば、常識的な金融リテラシーを身につけて間違った意見は間違いだとわかるようになることです。

グッドラック。

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