バフェット太郎です。

著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる投資会社バークシャー・ハザウェイ(BRK.B)の年次総会が開催されました。

世界各地から4万人もの株主が開催地である米中西部ネブラスカ州オマハに集まるわけですが、そこで「投資の神様」であるバフェット氏は「アマゾン株は割安株」と主張し、多くの株主を驚かせました。

そもそも、バフェット氏は「バリュー投資の父」として知られるベンジャミン・グレアム氏の影響を大きく受けており、内在価値に比べて割安な価格で売られているバリュー株を選好していました。とはいえ、バフェット氏の言う割安株とは、決して低PERや低PBRといった銘柄を指すわけではありません。

一応説明しておくと、PERとは株価収益率のことで、仮にA社の株価が100ドル、EPS(一株当たりの利益)5ドルとした場合、PERは20倍になります。適正PERは概ね12~20倍(期待利回り5~8%)と言われていて、これよりも低い場合を低PERといったりします。(※ただし、PERの適正水準は業種や景気循環など外的要因で異なるため、必ずしもこの物差しが使えるというわけではありません。)

また、PBRとは純資産倍率のことで、仮にA社の株価が100ドル、BPS(一株当たりの純資産)50ドルとした場合、PBRは2倍になり、この数字が低ければ低いほど割安と言えます。日本の上場企業の中には、株価100円、BPS200円、PBR0.5倍といった会社も珍しくないわけですが、PBRが1倍を割り込むような会社は上場する意味がないだけでなく、経営者は「無能」の烙印が押されます。もちろん、日本では経営者も従業員も、株主も大衆もそんなこと知らないので、無能は無能のまま放置されるわけですが。
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さて、アマゾン・ドットコム(AMZN)の19年通期の予想EPSは27.14ドル、BPSは88.69ドル、株価1963ドルであることを考えると、PER72倍、PBR22倍で、従来のバリュエーションの尺度でアマゾンを計ると「割高」だと言えます。

ただし、19年1月から3月にかけて株価が1600~1700ドルで推移していたことを考えると、バークシャーはアマゾン株をPER59~63倍、PBR18~19倍で取得した可能性が高いです。(いずれも割高ですが。)

とはいえ、将来の成長率を加味すれば必ずしも割高とは言えません。たとえば、21年12月期の予想EPSは57.36ドルであることを考えれば、予想PERは28~30倍まで低下します。また、18年12月期以降のEPSの年成長率が41%なので、仮に21年12月期以降二年間の年成長率を30%とすると、23年12月期の予想EPSは96.9ドルとなり、予想PERは16.5~17.5倍と概ね適正な水準まで低下します。

そのため、今後数年間に渡って30~40%のEPS成長率が期待できるのなら、アマゾン株は割高とは言えず、将来の成長率が高ければ高いほど割安だと言えます。

もちろん、そうした見通しが外れて成長率が低迷すれば、クラフト・ハインツの時のように株価が暴落して「見通しを誤った」となるわけですが、将来のことは誰にもわかりません。

ちなみに、過去10年間(2008年末~2019年4月末)のバークシャー・ハザウェイの株価上昇率は237%、S&P500種指数の配当再投資込みのトータルリターン305%であることを考えると、バークシャー・ハザウェイへの集中投資がいかなる局面でも高いパフォーマンスが期待できるわけではなくは、株主の「バフェットが言うなら間違いない」といった妄信にも注意が必要です。

【S&P500種指数の配当再投資込みのトータルリターン】
1
【バークシャー・ハザウェイ(BRK.B)のリターン】
2
(※バークシャー・ハザウェイは無配株です。)

グッドラック。

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