バフェット太郎です。

金融庁は22日に公表した『高齢社会における資産形成・管理』で、「人生100年時代と呼ばれるかつてない高齢社会を迎えようとしている中、老後生活の支出と年金給付を勘案すると、老後生活が20年なら約1300万円、30年なら2000万円不足する」とし、その対応策として「長期・積立・分散投資等の資産形成」といった「自助努力」が呼びかけました。

これに対してネット上では「国が年金制度の崩壊を認めた」「何のために年金を払わされているのか」「低賃金でどうやって資産形成しろというのか」「自助努力に期待するなら年金の徴収やめろ」といった批判が殺到しました。

とはいえ、年金を所轄するのは金融庁ではなく厚生労働省なので、国が年金制度の崩壊を認めたわけではありません。また、金融庁は以前から国民に対して資産形成を呼び掛けており、「iDeCo」や「NISA」といった税制上有利な金融サービスを充実させてきているので、今回、その対応策としての「資産形成(自助努力)」の呼びかけはこれまでと何ら変わらない既定路線です。

では、なぜ今回炎上したかと言えば、左派を代表する朝日新聞が”金融庁”を”政府”とすり替えて「政府が年金など公助の限界を認めた」と記したためです。

ちなみに、金融庁はこの指針案で「公的年金制度が多くの人にとって老後の収入の柱であり続けることは間違いない」とした上で、「老後の収入が足りないと思うのであれば、資産形成・運用といった『自助』が必要だ」と述べています。

つまり、「豊かな老後生活は保障できないので、従来型のライフプランを考えているなら資産形成をしてみては?」と述べているにすぎません。これは何もおかしなことではありません。

そもそも、世界のどこを探しても豊かな老後生活が保障された国などありません。また、過去を振り返ると、健康寿命の長期化に伴い働く期間も延長してきたため、これからは退職年齢が70歳、75歳と先延ばしになることが予想されます。
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事実、1960年代を振り返ると、働く期間が32年だった一方、2010年代は42年とこの50年で働く期間は10年も延長しました。一方で老後期間はそれぞれ15年、16年とほとんど変わりありません。
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つまり、50年後の2060年代は働く期間が52年と延長する一方、老後期間はおよそ15~17年とほとんど変わらないことが予想されます。そのため、23歳から働き始めた場合、75歳くらいまで働き、老後生活は15年程度となり、90歳で寿命を迎えることが予想されるわけです。

そのため、75歳まで働くことが常識になる未来で、65歳で退職したいのなら資産形成は必要になります。金融庁はそのための対応策を示したにすぎず、驚くようなことではないのです。

ちなみに、働く期間が52年と延長する一方、企業の平均寿命が23.5年であることを考えると、これからは誰もが一度や二度は転職することが予想されます。そのため、何のスキルも身につけずに会社にしがみつくといったことをし続ければ、自分で自分の首を絞めることに他ならず、今後は休日を返上して常にスキルを身につける努力をするなど、一層の努力が個人に求められるようになります。

しかし、多くの人々は勉強し続けるという頭の痛くなるような現実から目を背けます。なぜなら、将来の不幸な境遇なんて政府や社会、時代、環境、他人のせいにした方がずっと楽でいられるのだから。

グッドラック。

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