バフェット太郎です。

サイオン・アセット・マネジメントのマイケル・バーリー氏は、最近のインデックスファンドへの大量の資金流入は「市場を歪めている」とし、「多くのバブルがそうであったように、長く続けば続くほど崩壊はより深刻なものになるだろう」と指摘しています。

バーリー氏は2008年の金融危機前から住宅ローン証券の値下がりを見越した投資で成功し、マイケル・ルイス氏のベストセラー『世紀の空売り』でも取り上げられたヘッジファンド投資家です。

同氏は「特に難関とは思えなかった」という理由で医学部に進学し医師になり、その頃から投資ブロガーとして情報発信をしていました。その後ヘッジファンド「サイオン・キャピタル」を立ち上げると、2001年にドットコムバブル崩壊でS&P500種指数が-12%と沈む中、+55%のリターンを確保しました。

さらに、2002年と2003年のパフォーマンスはそれぞれS&P500種指数が-22%、+29%だったのに対して、サイオン・キャピタルのそれは+16%、+50%と大きくアウトパフォームするなど、驚異的な投資成績を残しました。

さて、バーリー氏が指摘している通り、多くの投資家はいまインデックスファンドに夢中で、「S&P500インデックスファンドに投資しさえすれば良い」と確信しています。しかし、これは新たな問題を引き起こす原因となります。つまり、「合成の誤謬」が起こり得るのです。

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「合成の誤謬」とは、個人にとって最適な行動も、全体でやれば悪い結果を招くというものです。たとえば、不況において支出を減らし倹約的な生活を送ることは個人にとって最適な行動ですが、全ての人々が同じ行動を取れば経済全体にお金が出回らなくなるので不況が深刻化してしまいます。

投資の世界でも同じで、S&P500インデックスファンドに投資することは個人にとって最適な行動も、全体でやれば指数に組み入れらえている大型株を中心にバリュエーションが割高になる一方、指数に組み入れられない中小型株は割安に放置されやすくなります。

さらに、中小型株は適正なバリュエーションがつかないだけでなく、決算書も精査されにくいため粉飾決算など不正の温床にもなりやすいです。そのため、市場に歪みが生まれやすいのです。

仮にバーリー氏が指摘するように、「インデックスファンド・バブル」が崩壊すれば、多くの個人投資家は「インデックスファンドに投資してしまっているせいで十分なリターンが得られない」として、低すぎるリターンに甘んじる日々を過ごすことになるかもしれません。

そのため、個人投資家らは市場が正常化するまでの間、低リターンに耐えることができずに狼狽売りに走ってしまう可能性があります。ただし、市場の正常化は”長期的に見れば”インデックスファンドへの投資が最適化することを意味します。

いずれにせよ、S&P500インデックスファンドへの長期投資は報われる可能性が高いものの、みんなが思っているほど平坦な道ではないということです。

グッドラック。

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