バフェット太郎です。

FRB(米連邦準備制度理事会)が10月のFOMC(連邦公開市場委員会)の議事要旨を公表しました。

この議事要旨では、「世界経済の成長鈍化と国際貿易に関する見通しへのリスクは依然として大きい」としていたことで、これらを巡る懸念が10月の利下げ要因となったことが改めて確認されました。

また、大半のFOMCメンバーが今年三度目となる10月の利下げを実施した後は、今後数カ月以内にさらなる利下げが必要かどうかを見極めるため、しばらく様子を見ることができると考えていたそうです。

【米政策金利の推移】
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これまでを振り返ると、FRBは2015年12月のFOMCで、金融危機以降はじめて利上げに転じ、その後三年間に渡って都度9回の利上げを実施しました。しかし、世界経済の成長鈍化と米中貿易戦争の激化を巡る懸念が高まると、2019年7月のFOMCで10年半ぶりとなる「予防としての利下げ」を実施しました。そして、9月、11月のFOMCでそれぞれ0.25%ポイントの利下げを実施し、政策金利を1.50~1.75%のレンジに引き下げました。

【CMEフェドウォッチ:2019年12月FOMC予想】
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さて、CMEフェドウォッチによれば、市場が予想する12月の利下げ確率は0.7%と、据え置きが確実視されており、投資家とFRBの意見が一致していることがわかります。

【CMEフェドウォッチ:2020年6月FOMC予想】
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ところが、市場が予想する2020年6月の利下げ確率は57.6%と、大半の投資家が6月までにもう一度利下げが実施すると予想しています。

一方で、FRBはFOMCで今後の見通しについてほとんど語らなかったことから、緩やかな経済成長と力強い労働市場が続く限り、利下げを実施する可能性は低いと言えます。

こうした中、米下院は「香港人権法案」を賛成417、反対1の圧倒的多数で可決したことで、米中貿易戦争が激化することが予想されており、世界の経済成長と米経済の先行き見通しに対して暗雲が立ち込めています。

香港は今、デモ隊と香港警察が衝突していますが、香港警察によるデモ隊への殺人やレイプが「自殺」として処理するなど、実質的な無法地帯となっています。(被害に合っている人たちの大半はデモに参加している(未成年者を含む)若者たちです。)

そもそも「香港人権法案」とは、香港の「一国二制度」が守られているどうかについて、毎年の検証を義務付けるほか、香港の「基本的自由・自治」が損なわれた場合、その責任を負う当局者に制裁を科す内容となっています。(家族や資産を海外に逃がしている共産党幹部にとって、これは痛い話なのです。)

また、「第三国が中国や香港の政治に口を出すのはどうなのか」という意見もありますが、香港は「一国二制度」を前提に関税などで優遇措置を受けているため、その前提が覆されれば優遇措置も受けられないというのが理屈となっています。

さて、当初トランプ大統領は「香港人権法案」に対して署名しないのでは?と考えられていました。それは米中貿易戦争が激化すれば、株価が下落しかねず、来年の大統領選挙に悪影響をもたらすからです。

しかし、トランプ大統領は議会の決定に対して「拒否権」を発動しても、それを覆される可能性が高いため、署名せざるを得ない状況となっています。(※上下両院全体の三分の二が支持を集めれば、「拒否権」を覆すことができ、それができることは圧倒的多数の支持をすでに集めていることから確実です。)

中国政府はトランプ大統領が「香港人権法案」に署名すれば「報復する」としているため、米中貿易戦争が激化するのは明らかです。

そのため、世界経済が一段と悪化しかねず、FRBは来年利下げせざるを得なくなる公算が大きいです。利下げの恩恵を受けるのは、金や債券といった安全資産のほか、高配当株や金鉱株、さらにデジタル・ゴールド(ビットコイン)などです。

グッドラック。

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