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バフェット太郎です。

日本経済新聞の『株・投信、手数料ゼロの波』によれば、株や投信の手数料の撤廃は個人投資家の裾野を拡大する一方、証券各社の収益圧迫が業界再編を誘発するのでは?とのこと。

かねてから証券会社は売買手数料を主な収益源としており、個人投資家に頻繁に売買を繰り返してもらうことで収益を拡大させてきました。

たとえば、営業マンが個人投資家に「新興国株投信」を勧めたとします。その後、新興国株価指数が思惑通りに上昇すれば「十分値上がりしたので利益確定して、出遅れている銘柄を買いましょう」と売買するよう誘導します。

反対に新興国株指数が下落すれば「”見切り千両”(損はするがそれ以上の大きな損失が避けられるのなら千両の価値がある)ですから、ここは損切りして値上がりが期待できる銘柄に乗り換えましょう」とし、やはり売買に誘導します。

証券会社はこれまでこのようにして手数料を稼いできたのですが、個人投資家のパフォーマンスは売買を繰り返せば繰り返すほど悪化していたので、多くの個人投資家は売買手数料分損をしていました。

そこで、1999年に金融ビッグバンの柱として、売買手数料の完全自由化し、ネット証券主導で値下がりが進みました。つまり、今回の「手数料撤廃」の動きはビッグバン以来二度目の大波というわけです。

では、手数料収入を失った証券会社はどのようにして生き残れば良いのでしょうか。ひとつは信用取引の際に掛かる金利収入が挙げられます。手数料撤廃に伴い個人投資家が積極的に信用取引を利用すれば、その分金利収入が期待できるというわけです。

また、投資信託の「信託報酬」も期待できます。信託報酬とは運用管理費用のことで投資家が投資信託を保有している間、日々支払う費用のことです。加えて、「信託財産留保額」といって解約時にかかる費用もあります。

「老後資金2000万円不足問題」が叫ばれる中、多くの人々にとって資産運用は資本主義社会を生き抜く上で必要不可欠なツールです。こうした中で手数料撤廃の波が個人投資家の裾野を広げる役割を果たせば、証券会社はこれから売買手数料ではなく、運用管理費用である信託報酬を収入源にすることができますし、個人投資家の資産形成を後押しすることができるなどWin Winの関係を築くことができます。

ただし、個人投資家を囲い込むことができない大手証券会社以外は、十分な信託報酬を稼ぐことができないので、淘汰されることが予想されます。

そのため、証券会社各社は短期的に見れば収益が圧迫しますが、業界再編による寡占化が進めば、長期的に見れば収益性が幾分改善することが見込まれます。

いずれにせよ、「手数料撤廃」は個人投資家にとって朗報であると同時に、投資をしている人としていない人との間で生まれる格差拡大を後押しし、「貯金が一番」などという旧世代の”教え”を”守っている愚鈍な大衆の未来を一層暗くします。

グッドラック。

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