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バフェット太郎です。

日本経済新聞に『米社、株主還元で債務超過』との記事。

米国の大型株の中には、負債総額が資産総額を上回る、いわゆる「債務超過」状態にある企業も珍しくありません。ただし、債務超過状態にあるからといって必ずしも経営不安が起きているとは言えず、むしろ優良株と言える銘柄も少なくありません。

通常、企業は金融機関から借り入れをすることで資金調達し、その資金を元手に事業活動をし、利益を創出。その利益の一部を返済に充てることで資金を回しています。仮に利益の創出に失敗した場合、手元にある現金や短期債などの売却、あるいは土地や不動産の売却で資金を捻出し、借金の返済に充てます。しかし、資産が底をつき、期日までに負債を返済できなければ企業は倒産してしまいます。そのため、資産総額が負債総額を上回るなど、健全なバランスシートが求められています。

とはいえ、前述した通り、債務超過状態にあることが必ずしも経営不安を意味するものではありません。

たとえば、債務超過状態にあるフィリップ・モリス・インターナショナルは長年債務超過状態に陥っているものの、S&P(スタンダード&プアーズ)による格付けは、「債務を履行する能力は高い」を意味する「A(シングルエー)」を得ています。

【フィリップ・モリス・インターナショナル】
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フィリップ・モリス・インターナショナルのキャッシュフローの推移を眺めると、本業の儲けを表す営業キャッシュフローの黒字が続いていることに加えて、投資支出がわずかであることから、毎年莫大なフリーキャッシュフロー(純現金収支)を生み出していることがわかります。

このように、フリーキャッシュフローの黒字が続く見通しなら、負債の返済が困難になるということはないので、債務超過状態が必ずしも経営不安とは言えないのです。

同じように、米国には必ずしも経営不安とは言えない債務超過状態の大型株がゴロゴロあります。たとえば、米軍用機メーカー最大手のロッキード・マーチン(LMT)、コーヒーチェーン世界最大手のスターバックス(SBUX)、ファストフード世界最大手のマクドナルド(MCD)、同業大手でKFCを展開するヤム・ブランズ(YUM)、米日用品大手のコルゲート・パルモリーブ(CL)、同業大手のキンバリークラーク(KMB)などが挙げられます。

これらの銘柄はどれも安定したフリーキャッシュフローが期待できるため、配当や自社株買いなどで株主価値の最大化を目指す優良株と言えます。

なぜ、米国にはこのような優良株があるのかと言えば、株価上昇に連動して経営陣の報酬が上がる仕組みを取っているからです。株主と経営陣の利害が一致するからこそ高いリターンが期待できるのです。

一方で、ほとんどの日本企業の経営陣は自社株なんて保有していませんし、株価に連動して報酬が上がるわけでもありません。さらに、日本では債務超過に陥ると金融機関の融資を受けにくくなるほか、東京証券取引所は債務超過状態が一年以上続く場合、上場廃止となってしまうので資本効率を限界まで高めることはできません。

つまり、日本株は構造的に株主価値の最大化に限界があるわけです。

もちろん、金利が急騰すれば債務超過にある企業は破綻するリスクが高まります。しかし、先に挙げたような銘柄は金利が急騰する場面、すなわち物価が上昇するような場面では、販売価格を引き上げる一方で賃金の値上げを遅らせることでことで、金利上昇分のフリーキャッシュフローを生み出すことができます。

そのため、金利が急騰する場面においても先に挙げたような優良株の破綻リスクが必ずしも高まるわけではありませんから、過度に心配する必要はありません。

グッドラック。




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