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スーパーチューズデーとは

バフェット太郎です。

4日のNYダウ株式市場は1173ドル(4.53%)高の2万7090.86ドルと大きく上昇して取引を終えました。

とりわけヘルスケアセクターが好調で、バンガード・米国ヘルスケア・セクターETF(VHT)は5.59%高と急騰しました。ちなみに、バンガード・米国ヘルスケア・セクターETFとは、米国のヘルスケアセクター銘柄で構成される指数に連動するETFのことで、医薬品3割、バイオと医療機器が各2割の比率で構成されていて、ジョンソン・エンド・ジョンソン一社で9%を占めているという特徴があります。

上昇した主な要因は、「スーパーチューズデー」でジョー・バイデン氏が優勢と伝わったためです。

そもそも「スーパーチューズデー」とは、大統領選挙がある年の2月または3月初旬のひとつの火曜日を指します。この日、多くの州で同時に大統領選挙のための予備選挙や党員集会が開催され、一日で最大の代議員を獲得することができます。つまり、たくさんの投票が行われるので、選挙戦において重要なヤマ場となる大切な日になります。


大統領選挙までの流れとプロセス

米国の大統領選挙のプロセスは非常に長く、そして複雑なので、ちょっとここで簡単に説明しておこうと思います。まず、米国は共和党と民主党による二大政党制ですから、それぞれが党の代表となる大統領候補と副大統領候補を決めなければなりません。

大統領選挙の年(つまり2020年)の2月~6月にかけて予備選挙と党員集会があり、各州で「代議員」を決めます。(※予備選挙は投票選挙で決めて、党員集会は話し合いで決めます。ただし、話し合いで決める場合、本音が言えないなどの問題もありますから、最近は予備選挙方式が主流です。)

予備選挙・党員集会では、一般党員が候補者を選び、その候補者を支持している「代議員」を間接的に選出します。そのため、ここで「獲得代議員数」が多い候補者ほど有利になります。

そして7月~8月の全国党大会で「代議員」が出席し、そこで各党の大統領候補者が正式に決定します。

共和党と民主党がそれぞれ大統領候補者を決定したら、11月3日の大統領選挙で一般の有権者がどちらかに投票します。

とはいえ、ここでの総得票数が多くても大統領にはなれません。米国では各州で「選挙人」がおり、この選挙人の過半数を得た候補者が大統領になることができます。

選挙人は州ごとに数が違います。たとえば、カリフォルニア州は55人でモンタナ州はわずか3人しかおらず、合計で538人います。

前回の大統領選挙では、ヒラリー候補のほうが総得票数で多かったものの、トランプ氏の方が選挙人が多い激戦州で勝利したことで、トランプ氏が勝利しました。つまり、激戦州を戦略的に攻略すれば、たとえ投票数が相手より少なくても大統領選で勝利することができるというわけです。


予備選挙では代議員の獲得を目指している

さて、大統領選挙の流れとしてはこんな感じになるのですが、現在盛り上がっているのは、2月~6月にかけて行われる予備選挙と党員集会で、ここで各州の「代議員」を決めています。「代議員」はそれぞれバーニー・サンダース上院議員やジョー・バイデン上院議員を支持しているので、各候補者はより多くの「代議員」を獲得することで、民主党を代表する大統領候補になることができます。

「代議員」の数は州ごとによって違うので、代議員数が多く獲得できる州で勝利する必要があります。ちなみに、代議員は比例配分されるので、負けてもゼロというわけではありません。ただし、15%以上の票を得られなければ配分を受けることはできません。

現在のところ、「代議員獲得数」でトップを走っているのがバイデン氏で566人、第二位がサンダース氏で501人、そして、第三位がウォーレン氏で61人となっており、バイデン氏とサンダース氏の一騎打ちとなっています。

バイデン氏はサウスカロライナ州やノースカロライナ州、テキサス州、そしてバージニア州など比較的南部に強く、サンダース氏はカリフォルニア州やネバダ州、コロラド州など西海岸で勝利しています。

南部は右派が多く、西海岸は左派が多いことから、バイデン氏は右派に強く、サンダース氏は左派に強いことがわかります。

ちなみに、右派とは保守派のことで保護貿易を推進したり、伝統的な週間や制度、考え方を尊重します。そのため白人至上主義者が多く、差別的な一面があります。バイデン氏は民主党なので、右派ではありませんが、中道派であるため南部ではサンダース氏より人気があります。

左派はリベラル派のことで自由貿易主義、社会主義的、共産主義的で、より平等な社会を目指すための社会変革を支持する層を指します。大衆迎合主義であるため、理想だけは高く大衆の人気は得やすいです。しかし、政策の実現性は乏しいです。サンダース氏はまぎれもない左派であるため、トランプ大統領とは政策の面で真逆の位置にいます。
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バイデン氏とサンダース氏の政策スタイルの違い

バイデン氏とサンダース氏のそれぞれの政策スタイルと主な政策は以下の通りです。

バイデン氏(中道派)

環境:グリーンニューディール政策推進
経済:最低賃金時給15ドル、所得税・法人税の最高税率引き上げ
ヘルスケア:民間保険併用の医療保険制度
移民:不法移民の市民権獲得への門出開放

サンダース氏(左派)
環境:パリ協定復帰、石炭の輸出入停止
経済:ウォール街の投機取引などへ増税、相続増税、大企業の一部国有化
ヘルスケア:国民皆保険制度を完全国営化
移民:総合的な移民救済法整備


環境問題について

バイデン氏が環境分野で訴えているのは「グリーンニューディール政策の推進」であるわけですが、そもそもグリーンニューディールとは、自然エネルギーや地球温暖化対策に公共投資することで、新たな雇用や経済成長を生み出そうとする政策のことです。

石炭や石油などの化石燃料の利用を止めて自然や環境ににやさしいエネルギーを利用するのは、大変耳障りが良いので多くの国民から支持されるのは必然です。しかし、それを実現しようとすると膨大なコストが必要になります。

その代表的な例が「送電線」です。たとえば、太陽光エネルギーや風力エネルギーを米国の送電網に組み込む場合、発電所を大都市に建設するなどということはできませんから、当然遠く離れた場所に建設することになります。たとえば、中西部の大平原グレートプレーンズでは、風力エネルギーが豊富に得られますし、モハーヴェ砂漠では年間360日の日照があります。そのため、どちらも発電所を建設するには最高の立地なのですが、発電所から複数の大都市まで数百マイル離れているため、州をまたぐ高電圧の送電線をいくつも建設しなければならなくなります。

もちろん、建設するには膨大な予算が必要になるので、増税をするなどして国民からお金を徴収するしかありません。また、送電線を建てる場合、地元住民の反対もあります。自宅のそばに突然送電線が建てば景色も変わるので、住民が嫌な気持ちになるのは必然です。

そのため、「グリーンニューディール政策の推進」という一見すると誰もが賛成するような政策でも、反対する人たちは出てきますし、予算の問題も出てくるので実現はなかなか難しそうです。

サンダース氏は気候変動に対処するために石炭の輸出入停止のほか、米国の石油手ガスの採掘、特にシェール層のフラッキング(水圧破砕法による掘削)の禁止を求めています。

仮にフラッキングが禁止となれば、シェール業界にとって事実上の「死の宣告」になり得るため、サンダース氏が大統領になればシェール企業が相次いで破綻することが予想されます。


経済、格差問題について

また、経済分野において、バイデン氏は最低時給15ドルを、サンダース氏は相続税や大企業の一部国有化のほか、資産課税も検討しているようです。これは、純資産3200万ドル超の富裕層に1%の税率を課すもので、税率は純資産額に伴い段階的に引き上げられ、純資産100億ドル超では8%の税金を課すそうです。

そのため、多くの富裕層はサンダース氏に大統領になって欲しくないと考えています。反対に、取られる資産がない若者は比較的サンダース氏を支持しています。彼は学生ローン債務の全額免除する法案も発表していることから、若者から支持されているのです。

ただし、本投票で若者は投票に行かないので、仮にサンダース氏が民主党の大統領候補になればトランプ氏が勝利することが予想されます。

バイデン氏は「最低時給を15ドルにすべき」を訴えていますが、仮に最低時給が15ドルになれば、人件費が経営を圧迫して倒産する会社が増えるだけです。もちろん、会社は倒産を回避するために多くのスタッフを解雇するので失業率も上昇します。

米国のマクドナルドが一部の店舗でタッチパネル式の注文になったことで、スタッフがほとんど必要なくなっていることを考えると、そうしたハイテク機器を導入できる大企業ほど競争が有利になる一方、導入できない中小企業ほど淘汰されやすくなります。また、単純労働がハイテク機器に置き換わることで単純労働しかできないブルーカラーの人たちの失業率も高まります。


ヘルスケア問題について

ヘルスケア分野では、サンダース氏は「国民皆保険制度」の完全国有化を訴えています。昨日、ヘルスケアセクターが大きく上昇した主な要因は、サンダース氏が劣勢に立たされているからにほかなりません。

とりわけ、医療保険・管理医療関連株が軒並み大暴騰しており、ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)が10.7%高、のアセム(ANTM)15.6%高、ヒューマナ(HUM)14.4%高でした。

格差が拡大するなか、貧しい人たちも保険に加入することで平等に高度な医療を受けることができるのは素晴らしいことですが、それには莫大な社会保障費が必要になります。事実、国民皆保険制度を導入している日本では、莫大な社会保障費が財政を圧迫し、それ以外の分野に予算を振り分けられないことから国際競争力が低下しています。

また、生産性の低い人たちが長生きしても経済にとって良いことがあまりないので、経済成長の足枷になっているのもまた事実です。

このように、民主党が訴えることは耳障りの良いことが多いですが、それには膨大なコストが必要になるなどのデメリットが存在します。

とりわけ、バイデン氏よりもサンダース氏の方が過激であり、より多くのコストが必要になる見通しであることから、今回、バイデン氏が優勢であることは短期的にみれば株式市場にとって追い風になります。ただし、バイデン氏が大統領候補になればトランプ大統領が苦戦するのも事実です。


今後のスケジュール

今後のスケジュールと重要な州、そして代議員数は以下の通りです。

3月10日
ミシガン:125

3月17日
フロリダ:219
イリノイ:155
オハイオ:136
ジョージア:105

4月28日
ニューヨーク:274
ペンシルベニア:186

6月2日
ニュージャージー:126


まとめ

現在、バイデン氏優勢が伝えられていますが、必ずしも勝利が確定したわけではありません。より多くの代議員数が獲得できる州が3月17日に集中していることから、ここで大勢が決まります。

”大統領選挙のみを材料”とすれば、バイデン氏が勝利すれば短期的に見れば上昇するものの、トランプ大統領の苦戦が強いられることから、大統領選挙の11月にかけて伸び悩むことが予想されます。

一方で、サンダース氏が勝利すれば、短期的に見れば値下がりするものの、トランプ大統領が圧勝することが予想されますから、大統領選挙の11月にかけて株価は大きく上昇することが期待できます。

グッドラック。



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