バフェット太郎です。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に対する最大2兆~4兆ドル規模の超大型景気刺激策を巡って、米上院が採決を否決しました。

これを受けて、ダウ先物は前日比955.5ドル(5.02%)安の1万8084.5ドルと大暴落し、サーキットブレーカーが発動しました。サーキットブレーカーとは、市場の混乱を落ち着かせるために一時的に取引を停止させる措置で、先物市場は5%安で発動されます。

上院が採決を否決した主な要因は、共和党による「中小企業支援策」を民主党が反対したためです。

そもそも「中小企業支援策」とは、3000億ドルの予算で企業の給与支払いを政府が肩代わりするというもので、コロナショック後も企業が従業員をリストラしたりレイオフ(一時的解雇)していなければ、肩代わりした給与の返還はしなくて良いとする優遇措置です。(ただし、リストラやレイオフをした場合、返還が求められます。)

これに対して、民主党は「(中小企業支援策は)個人に対する支援よりも企業に対する支援の方が手厚く、企業を優遇している」と反対しています。

たしかに「中小企業支援策」はフリーランスなどの個人事業主は対象外ですから、同じ税金を納めていても税の恩恵を受けられる人(企業の従業員)と受けられない人(個人事業主)がいるのは不公平です。そのため、民主党は「失業保険を拡充するなど、個人への支援策を強化すべき」と主張しています。

とはいえ、共和党の「中小企業支援策」が不公平ではあるものの、経済への打撃を小さくするためには理に適った政策と言えます。
1
たとえば、労働省が19日に発表した米失業保険申請件数は予想22万人に対して、結果28万1000人と予想より悪かったことに加えて、26日に発表される米失業保険申請件数は75万人が予想されるなど、金融危機時に最も多かった66万9000人(2009年4月9日)を大きく上回ることが予想されています。

つまり、「中小企業支援策」が可決されなければ、企業は大規模なリストラとレイオフに踏み切ることが確実で、大量の失業者が発生するのです。

そして、企業からリストラ勧告を受けた失業者たちは失業保険を申請し、失業保険を受給しながら再び次の職を探し、(場合によっては複数の)会社に問い合わせし、(複数の会社に)履歴書を送り、(複数の)面接の日程を調整し、(複数の)面接を受け、その結果を(複数社分)待ち、失業者は意思決定し、そしてようやく働き始めるのですが、給与が貰えるのはまだ先です。

このように、一度失業してしまうと再雇用されるまでに膨大な時間を要するので、失業者が多ければ多いほど経済的な打撃が大きくなるのです。そして、今回、その失業者は金融危機時を大幅に上回ることが予想されているため、共和党は不公平であることを認識しつつも「中小企業支援策」を可決させたいわけです。(それが巡り巡って個人事業主の仕事も安定させることに繋がるから。)

もちろん、民主党も「超大型景気刺激策」が米経済にとって一刻を争う重要な政策であることを認識しています。(超大型景気刺激策の内容がなんであれ、どのみち給付しなければ多くの国民は家賃やローンの支払いができず、生活が立ち行かなくなるのだから。)

しかし、民主党には民主党を支持する団体があり、彼らのために「世の中の不公平」議会で叫ぶ必要があるのです。言い方を変えれば今回の「反対」は民主党の「パフォーマンス」であるということです。

従って、採決が否決されたからといって「超大型景気刺激策」がとん挫したというわけではありません。また、民主党のペロシ下院議長は上院案の代替案を策定するとして、採決に向けて協議を継続していくとの姿勢を示していることから、明日か明後日にも与野党で合意できることが予想されています。

グッドラック。

【PR】バフェット太郎、YouTubeはじめました!最新の動画「【株価大暴落】株の買い時は〇月だ!!」では、先週の出来事のまとめをバフェット太郎がわかりやすく解説しているほか、過去の経験則をもとに株の底打ち時期についてもふれてます。

また、チャンネル登録もよろしくお願いします!


にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
大変励みになります。今日も応援のポチお願いします 
SPONSORED LINK