バフェット太郎です。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、米国株式市場は最大35.4%下げる場面がありましたが、現在は底値から29.4%高、コロナショック前の高値からは16.4%安の水準まで回復しています。

これは、ペンス副大統領が5月25日のメモリアルデー(戦没者追悼記念日)までに終息する可能性があるとの考えを示すなど、市場参加者が次第に「コロナ後」を見据えているからにほかなりません。

【S&P500種指数:日足】
1
しかし、S&P500指数の日足チャートを眺めると、50日移動平均線を挟む展開が続いているほか、仮に上にブレイクアウトしても200日移動平均線がレジスタンス(上値抵抗線)となって立ちはだかっていることから、再び下落トレンドに転じかねません。

つまり、株価は大きく反発し、感染危機が終息の兆しを見せているものの、二番底を試す展開は依然として残されているということです。

そこで、名著『市場リスク 暴落は必然か』を振り返って、個人投資家はどのように相場と向き合えば良いかを考えたいと思います。

ちなみに、著者のリチャード・ブックステーバー氏はMIT(マサチューセッツ工科大学)で経済学博士号を取得し、ソロモン・ブラザーズやモルガン・スタンレーで計量分析やリスク・マネジメントを担当し、87年のブラック・マンデーや98年のLTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)の破綻を間近で見てきた人です。また、本書は08年のリーマン・ショック直前に発売されたことから爆発的に売れ、多くの投資家が認める名著となりました。

さて、426ページに及ぶ『市場リスク 暴落は必然か』を一文で要約すれば、「金融市場は複雑怪奇であるため、投資家は暴落に慣れてシンプルな投資に徹しなさい」ということになります。ここで言う「シンプルな投資」とは、「レバレッジのないインデックスファンド」を意味します。

反対に「シンプルでない投資」とは2008年の金融危機の発端となったサブプライムローン債などを指します。そもそもサブプライムローン債というのは、過去に借金の延滞履歴があるなど、信用度の低いサブプライム(優良でない)顧客に対して住宅ローンを組ませて、その債権を証券化したものになります。

通常、そうしたジャンク債はリスクが高いのでそれほど流通しないのですが、最高格付けのAAA(トリプルエー)債の中に少しだけ混ぜて販売されたため、多くの投資家がサブプライムローン債が含まれた債券を掴まされてしまったのです。

結果、サブプライムローン問題が顕在化すると、多くの投資家は自身のポジションを解消しようと動き、売りが売りを呼び、金融市場は大パニックに陥ったのです。

つまり、シンプルでない複雑な金融商品は多くの投資家のリスク許容度を超えてしまうため、ブックステーバー氏はわかりやすいシンプルな金融商品(インデックスファンドなど)に投資すべきと主張しているのです。

また、暴落は予測不可能であり誰にも避けることができないことから、投資家はレバレッジを掛けるべきではないとも主張しています。

【Direxion・デイリー・S&P500・ブル3倍(SPXL):日足】
2
たとえば、S&P500ブル3倍(S&P500種指数の値動きの3倍になるように設計されたETF)は「コロナショック」を受けて最大78.4%安と大暴落し、その後101.3%高と上昇したものの、コロナショック前の高値からは56.5%安と大きく下げたままです。

また、株価がこのままV字回復するといった保障がどこにもないことを考えれば、株価は半値のまま延々と低迷し続けるかもしれないのです。

さらに、米国株以外の投資対象や特定のセクターが大きく上昇し続けた場合、投資家はまるで自分が世の中から置いて行かれたように感じて、居ても立っても居られず、米国株を売り、人気化している投資対象に資金を振り向けてしまいがちなので、S&P500ブル3倍が回復するまで保有し続けることができないのです。

実際、2000年代に米国株が10年間低迷した際、多くの投資家は米国株を手放し、新興国株に投資していました。

そのため、米国株式市場は感染危機終息への期待感から、株価が大暴騰するかもしれませんし、反対に二番底を目指すかもしれないなど、未来は誰にもわかりませんが、「暴落に慣れてシンプルな投資を心掛ける」ということができれば、どのようなシナリオが待っていても、乗り越えることはできそうです。

グッドラック。

(参考:『市場リスク 暴落は必然か』)

【PR】YouTube『バフェット太郎の投資チャンネル』は毎週、水曜・土曜の18時にアップされます。日本一わかりやすい投資・経済専門番組を目指していきますので、チャンネル登録ぜひよろしくお願いします!!
 


にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
大変励みになります。今日も応援のポチお願いします 
SPONSORED LINK