バフェット太郎です。

世界最大のヘッジファンド運用会社ブリッジウォーター・アソシエイツの顧客向けリポートによれば、これまで数十年にわたって先進国の収益性を高めた最大の要因である「グローバル化」はピークを過ぎ、現在は米中貿易摩擦と新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が「反グローバル化」を加速させているとし、「失われた10年」が再来すると警告しています。

そもそも、世界の先進国は「グローバル化」を選択し、それによって企業の収益性を高め、企業価値を高めてきました。なぜ、グローバル化を選択したのかと言うと、比較優位の原理が働くためです。

比較優位の原理はよくアインシュタインと秘書の関係で説明されるのですが、たとえば、アインシュタインは研究も事務作業も秘書よりも早く正確にこなすことができますが、事務作業までしていたら研究に充てる時間が少なくなってしまいます。

そこで、アインシュタインは自分よりも事務作業能力が低い秘書にその仕事を任せることで、研究に没頭し、大きな成果を得ることができます。

これは国家間でも同じです。たとえば、先進国のように労働規制が厳しく人件費の高い国で、農業や生産工場を建設するよりも、新興国のように労働規制が緩く人件費の安い国で同じ仕事をさせた方が、コストを安く抑えることができるので、大きな利幅を獲得することができます。

そのため、企業はこぞって中国に生産拠点を移したのですが、中国が次第に経済的な力を持つようになると、ウイグルやチベット、南モンゴルにおける民族浄化と人権弾圧を繰り返すようになったほか、南シナ海では行政区を設けるなど実行支配を強めるようになりました。

民族浄化や人権弾圧は中国共産党にとっては正義かもしれませんが、世界の先進各国の考える正義とは真逆の考え方です。

こうしたことを背景に、中国を脅威に感じた世界先進各国は「コスト重視」から「信頼性重視」に方針を転換しているわけです。実際、米半導体大手のインテル(INTC)は信頼性を重視して米国内に生産工場を建設する方針を発表しています。

これから「反グローバル化」の流れが止まるどころか加速する公算が大きいことを考えれば、ブリッジウォーター・アソシエイツが指摘するような「失われた10年」になりかねません。

とはいえ、そうした中でも長期的に見れば現金や債券を保有するより、米国株に投資した方が高いリターンが期待できるわけですから、そうした世界の逆風が投資をしない理由にはなりません。

グッドラック。

【PR】YouTube『バフェット太郎の投資チャンネル』は毎週、月曜・水曜・土曜の18時にアップされます。日本一わかりやすい投資・経済専門番組を目指していきますので、チャンネル登録ぜひよろしくお願いします!!
  
 
SPONSORED LINK