バフェット太郎です。

特定の投資対象や投資スタイルを過去10年のパフォーマンスで評価して、他人の投資スタイルにケチをつける詐欺師がいるから改めて書いておくけれど、特定の投資対象や投資スタイルをたかだか過去10年のパフォーマンスで評価することなどできません。

【S&P500種指数と金先物価格の推移】
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たとえば、このチャートは2009年12月末を100として、S&P500種指数と金先物価格の10年間の推移を表しています。このチャートだけを材料に、「S&P500インデックスファンドへの投資が金よりも報われる」ということを証明することはできません。

【S&P500種指数と金先物価格の推移】
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事実、1999年12月末を100とすれば、金先物価格は20年後に+507%と、S&P500種指数の+107%をおよそ5倍もアウトパフォームしています。仮にこの過去20年のチャートを根拠に「金への長期投資はS&P500種指数への投資よりも報われる」と言う人がいえれば、情弱か詐欺師です。これと同じように、過去10年20年のパフォーマンスを比べただけでは、特定の投資対象や投資スタイルを正しく評価することはできないんです。

【S&P500種指数と新興国株ETF(EEM)】
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もうひとつ例を挙げると、iシェアーズ・エマージング・マーケットETF(EEM)が設定された2003年5月末を100とした場合、2009年12月末までのパフォーマンスは+225%と、S&P500種指数の+16%を14倍もアウトパフォームしました。

この時、世界中の投資家が成長が見込めない米国株に投資するよりも、長期的に成長が期待できる新興国株に投資すべきと主張していました。そして過去10年のチャートを根拠に、「新興国株への長期投資は米国株を大幅にアウトパフォームすることが期待できる」と豪語したのです。

【S&P500種指数と新興国株ETF】
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そして、これがその後の10年チャートです。長期的に成長が期待できるはずの新興国株は見事に低迷し、その一方で成長が見込めないはずの米国株は+174%と大暴騰したのです。

もちろん、超長期(30年以上)で見れば、米国株は新興国株や金のパフォーマンスをアウトパフォームしてきました。しかし、あなたが投資をはじめたタイミングによって、あなたの投資成績は大きく変わりますし、まして過去10年を振り返っただけで特定の投資対象や投資スタイルを評価することなどできないのです。

ちなみに、1990年を起点にすれば、S&P500種指数は米長期債のパフォーマンスを下回っていますし、さらに言えば、保有期間を30年としても、0.6%の確率でS&P500種指数は米長期債のパフォーマンスを下回りますし、2.8%の確率で米短期債のパフォーマンスを下回ります。

それでも投資の世界でS&P500種指数への投資が推奨されているのは、過去100年のパフォーマンスが新興国株や債券、金に比べて高い傾向にあるからです。

ですから、特定の投資対象や投資スタイルを評価する場合、過去10年のチャートを振り返っても評価することなど到底できないのです。

とりわけ過去10年というのは、米国株(特にハイテク株やグロース株)にとって恵まれた10年であり、この間、弱気相場は一度も訪れていないわけですから、この10年だけでS&P500インデックスファンドやグロース株への投資はストレスなく投資できると評価するのも間違いです。S&P500インデックスファンドへの投資もグロース株への投資も、いずれ困難な時期が訪れるということです。

従って、過去10年を振り返っただけで特定の投資対象や投資スタイルを評価する人は情弱か詐欺師だけです。

グッドラック。

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