バフェット太郎です。

投資家の中には配当株よりも無配株の方が良いと盲信している人たちがいます。たしかに、配当には税金が掛かりますから、配当を出さない無配株の方が税制上有利であることを間違いありません。しかし、これは「生存バイアスの罠」にハマっていると言えるんです。

「生存バイアスの罠」というのは、生き残っている一部のデータだけを抜き取り、淘汰された無数のデータを計算に入れないことです。

たとえば、学校の部活の監督の中には「俺は体罰のおかげで成長できた」と主張し、子どもたちに体罰を繰り返す人がいます。監督は子どもたちに良かれと思ってやっているかもしれませんが、これは生存バイアスの罠にハマっていると言えます。なぜなら、監督は体罰で成長できたかもしれませんが、体罰を受けたことでやる気をなくしたり、挫折をして部活を辞めてしまった子供たちを計算に入れていないからです。

もし、体罰がなければ、やる気を失うことなく、あるいは部活を辞めることなく、素晴らしい選手に育ったかもしれません。しかし、生存バイアスの罠にハマっている人たちはそれに気づかないのです。

そしてこれは投資の世界でも同じことが言えます。その典型的な例が無配株への盲信です。

たとえば、無配株で有名が銘柄の中にアマゾン・ドットコムやアルファベット、フェイスブックといったGAFAM銘柄が挙げられます。これらの企業はたしかに利益を配当として株主に還元することなく、事業に再投資することで会社を成長させてきました。

しかし、世の中には事業に再投資しても、それがうまくいかず、結果的に配当を出した方が株主のリターンが高かった企業は山ほどあります。

【米全銘柄の配当利回りを十分位数に分けた時の各複利リターン】
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(出典:『ウォール街で勝つ法則 』)

このグラフは1951年から1996年までの、米国株のすべての銘柄を、配当利回りが高い順番に10のクラスに分けて、配当再投資込みのトータル・リターンを比較したものになります。

グラフを眺めると、最も配当利回りの高いクラスで14%、次いで二番目のクラスが13.8%、三番目のクラスが15.1%となっていて、平均の13.2%を上回っていることがわかります。

つまり、配当利回りが高過ぎる銘柄というのは、結局減配のリスクが高まりますから、配当株への投資は平均よりも高く、かといって高過ぎない3%~4%くらいが丁度良いということです。

一方で、配当利回りが低ければ低いほど、リターンが低下していることがわかります。たとえば、配当利回りが最も低く、無配株が多い左から10番目のクラスのリターンは11.8%と平均の13.2%を大きく下回っています。また、左から9番目の低配当株は11.7%と最も低かったです。

いずれにせよ、配当利回りの低いクラスのパフォーマンスがトータル・リターンも低い傾向にあるわけですが、これは何故かと言うと、そもそも配当を出さない企業というのは、赤字企業が多いからです。

こうした赤字企業の多くは利益をほとんど生み出すことができず、あるいは事業に再投資しても失敗ばかりで、最終的には淘汰されるので、「無配株が良い」と言っている投資家は、アマゾンのような一握りの生き残り企業ばかり見て、淘汰された無数の無配株を無視するといった「生存バイアスの罠」にハマっていると言えるんです。

グッドラック。

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