バフェット太郎です。

エネルギー業界はいま、経済学で言う『囚人のジレンマ』にハマっています。囚人のジレンマとは、互いに協力する方が協力しない場合よりも良い結果になるということがわかっていても、協力しない者が利益を得る状況では、互いに協力しなくなるというものです。

具体的に言うと、サウジアラビアやロシアなどの産油国は協調減産することで供給に歯止めをかけ、原油価格を意図的に引き上げようとしています。しかし、イランのように協調減産に協力しない企業が現れた場合、最大の利益を獲得するのは高騰した原油を大量に輸出するイランになります。そのため、誰も協調減産できないというわけです。

これと同じことが石油業界だけでなく鉄鉱業界でも起きています。ブラジル資源大手のヴァーレ(VALE)が発表した2015年第4四半期決算によれば最終赤字が85億6900万ドルに膨んだとのこと。赤字の主な要因は、中国の需要減により主力の鉄鉱石の価格が急落したためです。

通常、需要減となれば供給も減らさなければなりません。しかし、豪BHPビリトン(BHP)や英豪リオ・ティント(RIO)などのライバル企業とシェア争いを繰り広げているVALEはシェアを奪われないように減産に踏み込めません。それはライバル企業も同じです。

三社にとって一番良い方法は、互いに協調減産に踏み切ることで鉄鉱相場を安定させることです。しかし、生産コストが下落傾向にあることが話をこじらせています。VALEの鉄鉱石の生産コストは昨年の半分になっているのです。

VALEの生産コストが急速に下がっている主な要因はブラジルやオーストラリアなどの資源国通貨安です。また、原油価格が値下がりしていることで鉄鉱石の運送コストや採掘コストも引き下がっています。さらに、鉄道輸送や採掘の無人化や機材の共通化、人員の削減など徹底してコストを削減することで、現在の価格水準でも黒字化は可能です。

つまり、生産コストを引き下げることができれば、引き下げられないライバル企業は淘汰されるので、シェアの拡大につながるというわけです。結果的に各社協調減産に踏み切ることはできず、最終的には「生か死か」を問われるまで戦い抜くことになります。
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VALEのチャートです。2011年の高値からおよそ-90%暴落しています。配当利回りは10.74%でしたが、無配に転落しました。
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BHPは2011年の高値からおよそ-80%暴落しています。配当利回りは10.29%です。
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RIOは2011年の高値からおよそ-70%暴落しています。配当利回りは8.36%です。各社に投資している投資家は資産状況を確認するのが億劫になるような目も当てられない無惨な状況になっています。

資源関連株は高配当利回りであることから、配当再投資を戦略とする投資家から人気の銘柄です。しかし、気をつけなければならないことは持続的に配当が支払われるかどうかです。資源関連株の業績は市況に大きく左右されるので、商品価格次第であっさり減配なんてことは珍しくないのです。

BHPはモーニングスターで確認できる範囲では過去9年連続で増配をしていますが、現在の株価水準は減配を織り込んでいます。

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