バフェット太郎です。

FRB(米連邦準備制度理事会)はFOMC(連邦公開市場委員会)で少なくとも2023年末までゼロ金利政策を維持する方針を表明しました。

これは、従来の「少なくとも2022年末」よりも一年長い数字ですから、FRBが米経済に悲観的になっていることを示唆しています。

また、物価上昇率は「当面2%超を目指す」とし、2%に到達するまで利上げを見送るとも宣言しました。これは「フォワード・ガイダンス」というもので、長期の低金利政策を確約するものです。こうすることで、市場参加者や企業の経営陣は安心して投資に踏み切れるので景気回復を加速させることが期待できます。

FRBはさらに、3月に再開したQE(量的緩和政策)を続けることも表明し、これによって米国債を月800億ドル、MBS(住宅ローン担保証券)を同400億ドルのペースで買い入れます。

ちなみに、マイナス金利政策の導入を検討するFOMCメンバーはゼロだったことから、米国でマイナス金利が導入される可能性は限りなくゼロに近いです。

ゼロ金利政策が解除される条件は三つあります。

(1)FOMCが完全雇用と見る水準まで労働市場が回復する
(2)物価上昇率が2%に達する
(3)一時的に物価上昇率が2%を緩やかに上回る経路に到達する

FRBがフォワードガイダンスとして「少なくとも2023年末までゼロ金利政策を維持する」と確約したのは、上記三つの条件を達成するのは少なくとも2023年末以降だと予想していることを意味します。

また、パウエルFRB議長は「景気水準を危機前に戻すためには、直接的な財政支援が必要だ」とし、FRBにできることは限られているため、政府による追加の景気支援策を強く求めました。しかし、米議会は与野党で意見が対立しており、追加の景気支援策が遅れるなど、先行き不透明感が高まっています。

さて、今回のFOMCでゼロ金利政策が少なくとも2023年末まで維持されること、そして量的緩和が続くことは金融相場が少なくとも2023年末まで続くことを意味します。

低金利が続くということは、株式の期待利回りが低下することを意味するわけですが、これはすなわちPER(株価収益率)の上昇を同時に意味します。

たとえば、株価とはEPS(一株当たりの利益)×PERで求められますから、低金利が続くということは高PERが容認されるため、株価は割高な水準で維持される公算が大きいです。

また、量的緩和が続くということは市場に大量のドルが供給され続けることを意味するため、市場の流通量に限りがある金やビットコインのドル建て価格は値上がりすることが予想されます。

【金先物価格:週足】
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金先物価格の週足チャートを眺めると、三角保ち合いを形成していることがわかります。これは、上値と下値の幅が徐々に狭まっていき、最終的にどちらか一方に大きく動くことが予想されるチャートパターンのことです。

50週移動平均線からかなり上の水準で推移していることを考えれば、下にブレイクアウトし、調整局面入りを迎えることも予想されますが、量的緩和が続くことを考えれば1676ドル水準がサポートライン(下値支持線)となって反発し、長期的に見れば上昇トレンドが続く公算が大きいです。

短期投資家はこのボラティリティを利用して売買を繰り返すことで利ザヤを抜くことが最適解ですが、長期投資家は、ある程度のボラティリティ(1676ドルまでの値下がり)は覚悟した上で長期で保有し続けることが賢明です。

グッドラック。

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