バフェット太郎です。

ウォールストリートジャーナルに『ヘッジファンド立ち上げる国際バリュー投資家に聞く』との記事。投資運用会社サード・アベニュー・マネジメントの元ファンドマネジャー、エイミット・ワドワニー氏がモエルス・キャピタル・マネジメントというヘッジファンドを立ち上げたそうです。

彼はサード・アベニュー・マネジメントでガチガチのバリュー株投資をしていたことで有名で、ポートフォリオは「集中投資×長期保有」をスタイルにしていました。ちなみに、今回立ち上げた社名、「モエルス」はラテン語で城壁を意味します。つまり、バランスシートが強固で安全性の高い銘柄に投資することを社名に掲げているわけです。

彼は次のようなことを考えながら銘柄を選びます。

一、事態悪化の懸念はないか
二、悪材料は出尽くしたか
三、今日、倒産した場合の価値はいくらか
四、生き残りの可能性
五、会社単体、産業、マクロ経済全般で危機はないか
六、為替変動はどうか

モエルス・キャピタル・マネジメントは主にグローバル投資を志向しており、新興国の優良銘柄に投資しているため、六の為替変動は特に注意を払っています。なぜなら、2012~2013年に新興国でドル建ての社債が多く発行された一方で、かなりの部分がヘッジされていないからです。

リーマンショック以降、米ドルの方が人民元よりも金利が低かったことに加えて、将来的に人民元は値上りすると予想されていました。そのため、中国の不動産開発会社にはヘッジなしの米ドル建て債務がむちゃくちゃあります。

過去、中南米の債務危機やアジア危機、アルゼンチン危機はどれも通貨のミスマッチが危機の根源になっていたことを考えれば、将来の中国経済が通貨を発端にした危機に陥ることが予想できるわけです。

米FRBによる利上げはドルを上昇させます。これにより概ね米ドルにペッグ(連動)している人民元も上昇してしまいます。一方で製品の輸出先になる国の通貨が値下がりすれば、当然中国製品は他国に対して割高に映り、輸出産業に悪影響が出ます。しかし、人民元を切り下げればドル建て債務の返済で苦しむことになります。つまり、どの道も行き止まりだということです。

エイミット・ワドニー氏はそうしたなかで香港上場の不動産開発会社、信和置業(シノランド、83・香港)に投資しています。

シノランドは純負債がなくネットキャッシュは増加基調と、モエルス(城壁)を有するバリュー株だからです。純負債がないということはドル建て債務に苦しむ必要がないということです。加えて自社株買いに積極的で、自己資本比率が83%と手元資金が潤沢にあるので不動産価格が暴落したときにそれを取得する能力があります。さらに過去10年間の純資産は年率11.3%で増加しています。また、シノランドの不動産は超一流物件ではないものの交通の要所かその近くにあり、安定した収益が見込める不動産を多く所有しています。
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チャートは香港・ハンセン指数の週足チャートです。弱気トレンドは継続しており、角度もかなりキツイです。
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こちらのチャートはシノランドの10年チャートです。09年以降9~15ドルのレンジで推移しています。ただし、中国不動産株の暴落となれば同じようにシノランドも売られると思います。そうやって、本来売られるべきではない株まで売られるようなメチャクチャな相場になったときこそ、本当の買い場になると思います。

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