バフェット太郎です。

野村HD取締役会長、古賀信行監修、野村證券投資情報部、佐々木文之編著『賢者の投資 』(東洋経済)の第一章「投資家にとって大切なこと」において、「グローバル、分散、長期」が資産形成の成功の秘訣と書かれていました。ぼくは投資は基本に忠実でなけれならないと考えているので、この言葉自体は賛成の立場です。そして読み進めると「さすが野村!」と思わず口をついて出てしまいました。

彼らの主張していることは「国内株式、外国株式、国内債券、外国債券の四種類を対象に投資した場合のリターンとして、最も高いリターンを挙げたのは、4種類の資産へ25%ずつ均等に投資した場合です。」というものです。

しかしジェレミー・シーゲル著『株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす 』を読んだことのある投資家は、すぐにこれはおかしいということに気づきます。なぜなら長期的にみた場合、米国株への集中投資が最もリターンが高いことを知っているからです。債券などは短期的には株式よりもリターンの高い期間がありますが、15年以上の長期投資を前提にした場合、米国株式が最も高いリターンを挙げます。

彼らが分散投資が最高のリターンを挙げる根拠として次のグラフを用意しています。
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まず、投資家が長期のグラフを見るときに注意しておかなければならないことがあります。それは、そのグラフはいつから始まっているかということです。このグラフは1988年3月から始まっています。日経平均株価が3万8950円の高値をつけたのが1989年末のことですから、1988年から始まるこのグラフは「日本株式のリターンを低く見せたい」という意図があるということを知っておいてください。

反対に、株価の下落局面では債券のリターンが高くなりやすいです。従って、債券のリターンを高く見せたい場合は、1989年のバブル直前からのデータや2008年のリーマンショック崩壊直前のデータから5~6年間のグラフを作成します。

さて、このグラフにおいて各リターンは次のようになります。

国内株式100%の場合、1.00倍(つまり横ばい)
国内株式・国内債券に各50%の場合、1.93倍
国内株式・外国債券に各50%の場合、2.97倍
国内株式、国内債券、外国株式、外国債券に各25%の場合、4.61倍

これって、つまり外国株式が全体のパフォーマンスを引っ張っていることに他ならないわけです。ちなみに1988年3月のS&P500指数は258ptで、2015年3月末には2067ptとおよそ8.01倍にもなります。さらに配当を再投資した場合のトータルリターンはさらに上昇し、13倍程度になります。従って最もリターンが高いのは米国株式100%というわけです。

そういうことを敢えて話さず、書かず、平気な顔して情弱な投資家に自社の金融商品を売るって姿勢、「さすが野村!」と感服せざるを得ません。

ちなみに、第二章以降の「金融危機の歴史に学ぶ」では、株価が反転する6つのパターンとして歴史的経験則が詳細に綴られています。例えばアルゼンチン危機やアジア通貨危機、ロシア危機、メキシコ通貨危機など、現在の新興国に対する経済懸念とかぶるところが多いので、その点は非常に勉強になりました。

インドのことわざに次のようなものがあります。「過去は新しい、未来は懐かしい」

過去を覗けばそこに未来が見えます。『賢者の投資 』はその一助になると思います。

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