バフェット太郎です。

3月31日の日本経済新聞に「IBMに見る相場の危うさ」との記事。

IBMの株価は2月に一時116.90ドルまで下げましたが、その後急反発しており、先週の終値は152.52ドルと150ドル台の大台に回復しました。これは底値からおよそ30%の上昇になります。
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ただしIBMに買い材料は出ていません。2015年第4四半期決算まで15四半期連続の減収となり、業績に明るさは見えません。米調査会社のトレフィスは「アウトソーシングサービス事業の需要低下や価格競争激化が起こる可能性がある」と指摘し、目標株価を138ドルに据え置きました。

IBMの株価が底値をつけたのは2月11日でしたが、この日はFRB(米連邦準備理事会)のイエレン議長が米議会証言で「世界市場の動向をじっと注視するつもり」と語ったことで早期利上げ観測が後退した日でもあります。さらに3月29日、イエレン議長はNYの講演で追加利上げについて「利上げは慎重に進めることがなお適切」と強調したことでIBMの株価も上昇しました。

つまり、IBMの株価は企業のファンダメンタルズ(基礎的条件)が改善したわけではなくて、利上げ観測の後退とドル安要因が大きく、必ずしもIBMに楽観的になれるわけではないということです。

IBMの業績は以下の通りです。
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売上高は2011年をピークに、営業利益は2012年をピークに下がり続けています。これは主に不採算部門の売却等によるもので、営業利益率は19.2%と2011年の19.0%からほぼ横ばいを維持しています。
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BPS(一株当たりの純資産)は下落基調である一方、EPS(一株当たりの利益)とDPS(一株当たりの配当)は上昇傾向にあります。これはIBMが現金を蓄えることなく、自社株買いや配当といったかたちで積極的に投資家に還元しているためです。
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最後にキャッシュフロー計算書を見ていきましょう。

本業の儲けを表す営業CFは堅調に推移していることがわかります。また、投資CFも毎年50億ドル程度で安定しています。そして投資CFがそれほどかからないため、毎年莫大なフリーCFを創出していることが確認できます。フリーCFは自由に使えるお金で、IBMは積極的に自社株買いを行っており、株数は四年間でおよそ20%も減少しています。

IBMは株価や業績の低迷を理由に不人気ですが、安定したキャッシュフローが見込める企業であることに変わりなく、バフェット太郎の好みの銘柄です。
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