バフェット太郎です。

ビジネススクールで世界最先端の経営戦略を教えないのは、それが役に立たないからです。

厳密にいえば、役に立つかどうかわからない机上の空論だからです。だからビジネススクールに通っても、世界最先端の経営戦略なんて教えてもらえるなんてことはなくて、相変わらずマイケル・ポーターの「ポジショニング戦略」とかジェイ・バーニーの「リソース・ベースト・ビュー(RBV)」戦略を習うことになるのです。これは四半世紀近くほとんど変わっていないみたいです。

世界の経営学者は一体何をしているのでしょうか。役に立つかどうかわからない経営戦略よりも、ライバルを出し抜く役に立つ経営戦略を教えて欲しい!と、世界中のビジネススクールに通う意識高い系のビジネスマンは不満でいっぱいでしょう。

しかし、経営学者にだって事情があります。彼らは知的好奇心を推進力とし、科学的な手法によって「ビジネスの真理」の探究を目指しています。また、経営学の世界で優れた研究と評価されるための基準は、厳密な理論展開と実証分析を求める「厳密性」と「知的に新しいかどうか」が軸になっていて、「実際に役に立つかどうか」ということに関しては重要度が低くなっているのです。

さらに、経営戦略を実務に応用するために分析ツールに落とし込むことは、学術業績としては認められていないことも教科書に反映されにくい原因になっているようです。

そこで本書は、役に立つかどうかわからないけれど、世界最先端の経営戦略ってこんな感じのやつだ!ってことが書かれています。

世界の経営学で最も多く研究されているイノベーション理論の基礎は「両利き」という概念です。簡単に言うと「組み合わせ」です。例えば、ヤマト運輸は「個人の宅配だけに絞り込む」というアイディアを、吉野家の「牛丼単品勝負」から着想を得て成功しました。

イノベーションは、専門分野に特化して、そればっかり研究しているような奴からは生まれなくて、複数の既存技術をうまく組み合わせることのできる奴から生まれることの方が多いです。だから日本の技術者みたいに、黙々と自分の仕事に打ち込むような技術者からは、発明家は生まれてもイノベーターは生まれないのです。

例えば「iPhone」「iPad」「iTunes」などはまさに「組み合わせ」であり、個々の技術をスティーブジョブズやアップルが発明したわけではありません。既存の技術の組み合わせで生まれています。

また、本書では真にグローバルな企業はほとんどないという米インディアナ大学のラグマン教授の研究を紹介しています。この研究によれば、どの企業もホーム地域では強いけれど、それ以外は弱いじゃんってことを言っています。例えば、ユニクロやニトリ、良品計画はアジア地域では好調だけど欧米は全然ダメじゃん。これってグローバル企業とは言えないよね。真にグローバルな企業っていうのはどの地域(北米、欧州、アジア)でもちゃんと稼ぐ企業のことだってことをラグマン教授は言いたいわけです。

で、真にグローバルな企業は2001年の時点で(古いな!)、IBM、インテル、コカ・コーラ、ルイ・ヴィトン、フィリップス、ソニー、キヤノンなど9社しかないそうです。マクドナルドとかプロクター&ギャンブル、ジョンソン・エンド・ジョンソンとかも入っていない。まぁ、データが古いから、今はどうなってるかわからないけれど、15年前はそんな感じらしいです。著者が2014年のデータをもとに同じ調査をした結果、日本企業はキヤノンとマツダだけだったそうです。

本書では他にもダイバーシティ経営についてや、最強のコンビは「チャラ男」と「根回しオヤジ」だ!など興味を引く話ばかりです。経営書を読んでる感じにはならなくて、スラスラ読めて楽しめました。



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