バフェット太郎です。

前回紹介したロナルドリードさん、彼の株デビューは37歳と比較的遅いスタートだったのにも関わらず、優良株に投資し、配当を再投資することで9億7000万円もの資産を作ってこの世を去りました。これは彼が銘柄選択に優れていたためでしょうか。それとも何か特別な要素があったのでしょうか。あるいは、そもそもS&P500ETFに投資した場合とどちらが成績が良かったのでしょうか。大雑把ですが、少しだけ計算しました。
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ちなみに、これがロナルドリードさんの保有銘柄の一部です。彼は全部で95銘柄に投資していました。また、その中にはアメリカン・エキスプレスからスピンオフしたリーマンブラザーズの株も含まれていました。

ロナルドリードさんは1959年から株を始めたので投資期間は55年です。また、初めて買った株はPGCという公益株で、2380ドル分買いました。これは現在価値に直すと1万0735ドルに値します。

あと、これはちょっとうる覚えなんですが、彼は毎月500~650ドル(インフレ調整済み)くらいの積み立て投資をしていたと思います。

で、1959年に100万円投資して、毎月5万円積み立て投資した場合、年率リターン何%で9億7000万円に到達するかというと、9.08%でした。

しかし、死ぬ間際まで毎月5万円も積み立て投資していたのでしょうか。生活費は一体いくらで年金はどうだったのか。そこら辺のことがさっぱりわからないので、飽くまで想像に終始しますが、もし、55年間平均して毎月3万円だけ積み立て投資していたとすると、9億7000万円に到達するには、年率10.09%のリターンが必要になります。

毎月5万円の積み立てなら年率リターンは9.08%でした。
毎月3万円の積み立てなら年率リターンは10.09%でした。

さて、これはS&P500ETFと比較してどうだったでしょうか。『株式投資の未来』によれば、1957年~2003年までの年率リターンは10.85%でした。また、『株式投資』によれば、1957年~2006年(3年増えた。)までの年率リターンは11.13%でした。これはロナルドリードさんのパフォーマンスに対して、わずか1%pt程度の差しかありません。

つまり、もしロナルドリードさんが1959年にS&P500ETFに投資し、配当を再投資し、毎月3~5万円積立投資していたとすると…

毎月5万円の積み立てなら20億~23億円になっていました。
毎月3万円の積み立てなら13億~15億円になっていました。




あれ?




1%ptの衝撃。



S&P500ETFの大勝利。



ETF信者大笑い。



なぜこんな結果になってしまったのか。ジェレミーシーゲル流のバリュー株投資をしている投資家の中には、ロナルドリードさんをリスペクトし、彼の保有銘柄をマネて投資した人もいたっていうのに…。

どうしてこんな無様な結果になってしまったのか。このままパソコンをそっと閉じて調べなかったことにしたい気持ちを抑えて、もう少しだけ考えたいと思います。

彼の保有銘柄をもう一度見てみましょう。
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この保有銘柄一覧を見ての第一印象は、金融株と資本財株多いなっ!てことです。

そこで『株式投資の未来』をもう一度読み直すと、1957年~2003年までのS&P500の年率リターンは10.85%だったわけですが、その他のセクターリターンは以下の通りでした。

ヘルスケア 14.19%
生活必需品 13.36%
情報技術 11.39%
エネルギー 11.32%
一般消費財 11.09%
S&P500指数 10.85%
金融 10.58%
資本財 10.22%

電気通信 9.63%
公益事業 9.52%
素材 8.18%

ロナルドリードさんが保有していた代表的な19銘柄のうち、12銘柄がS&P500指数を下回るセクターでした。つまり、金融株、資本財株、電気通信株、公益株、素材株を中心に投資してしまったせいでS&P500指数のリターンをアンダーパフォームしたと考えられるわけです。

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それにしても、どうしてロナルドリードさんは資本財株や金融株を中心に株を買ったのでしょうか。バフェット太郎は少し思い当たることがあります。それは日本の個人投資家です。日本の個人投資家も米国株に投資する際、最初はプロクター&ギャンブル(PG)やコルゲート・パルモリーブ(CL)のような地味で退屈な銘柄に投資します。しかし、値動きが非常に緩やかなため、すぐに飽きてしまいます。そしてほとんどの投資家は値動きの良い資本財株に資金を移し始めるのです。

もしかするとロナルドリードさんは最初はディフェンシブ銘柄に投資していたけれど、ほとんど株価が上がらなかったことから、次第に資本財株ばかりに投資するようになったのではないでしょうか。また、金融危機時には値下がりした金融株を果敢に買い向かったかもしれません。しかし、どちらのセクターも長期で見れば年率リターンはS&P500指数を下回っています。保有銘柄数が95もあるのは、あとから資本財株と金融株の銘柄を増やした結果かもしれません。

一見すると、ロナルドリードさんは消費者に馴染みのある優良株に投資し、配当を再投資し、長期で保有していたことから、ジェレミーシーゲル流のバリュー株投資をしていたに違いないと思い込む投資家は少なくないと思います。しかし、バフェット太郎が考えるに、彼はタイミングを計り、不況時にいくつもの資本財株や金融株を積極的に仕込むような投資家だったのではないかと思うわけです。そして結果的に市場平均をアンダーパフォームしたのだと思います。

(*ロナルドリードさんの毎月の積立額など、大雑把に計算しているので、事実に反する場合もあります。飽くまでバフェット太郎の想像であることをご容赦ください。)


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