バフェット太郎です。

ウォールストリートジャーナルによれば「原油相場、一段の上昇に備えるべき」との記事。先日、今年初めて1バレル50ドルを突破原油市場ですが、原油価格が上昇した要因は主に三つあります。

一、カナダの山火事により、供給不安が広がった。
二、ナイジェリアで武装勢力の破壊活動により、供給量が減少するとの見通しとなっている。
三、ベネズエラのマドゥロ大統領の失策により、米大手油田サービス会社が事業縮小を発表した。

一、カナダの山火事により日量100万バレルが供給不足に陥っています。ただ最近になって操業を停止していたカナダのエネルギー会社が生産再開の準備を進めていることから、原油の上値に重くのしかかりました。

二、とは言え、カナダの山火事による供給不足は一時的なものなので、生産再開は市場にとって想定の範囲内です。それよりもわからないのが、情勢不安が続いているナイジェリアのニジェールデルタで起きている武装勢力の破壊活動です。国家収入の70%を原油収入に依存しているナイジェリアにとって、ニジェールデルタは最大の産油地帯で、原油の大半をここで生産しています。武装集団は「ニジェール・デルタ・アベンジャーズ」と名乗り、石油利益の公平な分配と拡大、長く貧困に苦しむデルタ地域の独立を求めて攻撃活動をしています。これにより、米石油大手シェブロン(CVX)や英蘭石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルが操業する石油プラットホームが被害を受けており、産油量が日量40%減少しています。

三、ベネズエラはマドゥロ大統領の失策により、二つの問題を抱えています。ひとつは石油事業者に対して支払いが遅延していることで、油田サービス会社のシュルンベルジェ(SLB)やハリバートン(HAL)が事業縮小を発表していることです。もう一つは、マドゥロ大統領が非常事態宣言をしている通り、深刻な社会不安に陥っており、原油生産の落ち込みが数年来の高水準にあります。

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以上の三点を要因に世界的な生産過剰が解消され、原油価格は上昇してきました。また、一時的な供給不足により原油価格が一段と上昇する可能性があります。

これは物理的な不足を意味しているのではなくて、実際、世界の商業・戦略在庫が450万バレルを超えるため、物理的な供給不足になるというわけではありません。しかし、世界のある地域の不足分を他の地域の増産で補う能力、いわゆる余剰生産能力は、ここ数年で最低水準になっています。これまではサウジアラビアの他の地域を補って増産してきましたが、その規模は以前ほどではなくなっています。
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原油先物相場の週足チャートです。一時的な供給不足に陥り瞬間的に急騰する場面があれば、その目標価格は60~62ドルになると思います。

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