バフェット太郎です。

フィリップ・モリス・インターナショナル(PM)の加熱式たばこ「iQOS(アイコス)」が発売から一年たたずして、東京都で5%のシェアを獲得したことがたばこ業界に衝撃を与えています。

そもそも「加熱式たばこ」と「電子たばこ」の違いですが、「電子たばこ」はリキッドなどでニコチンを摂取するのですが、日本の薬事法の規制によりニコチン入りの電子たばこを販売することができませんでした。そのためタバコ葉の香りもしなければニコチンも摂取できないということでたばこ市場でのシェアは1%以下にとどまっていました。

一方で「加熱式たばこ」は、タバコ葉を使用するため香りとニコチンを同時に楽しむことができます。また、火を使わず電気で加熱させるため、有害物質であるタールは従来の紙巻きたばこに比べて9割ほど低減させることに成功しています。加えてにおいが薄く、副流煙も出ません。

しかしデメリットもあります。それは1本当たりの吸い込める回数が少ないことや、1本ずつ充電が必要で連続して使用できないといった点です。また、選べるフレーバーも少ないことからまだまだ改善の余地があります。

PMの歴史を振り返れば、もともとフィリップ・モリス(MO)という社名でした。しかし米国で相次ぐ訴訟に疲弊していた同社は、アルトリア・グループ(MO)に社名変更し、米国外事業をフィリップ・モリス・インターナショナルという社名でスピンオフ(分離・独立)させました。

PMは本社をスイスの工業都市ヌーシャテルに構え、そこで製薬の世界大手であるスイスのノバルティス・ファーマを中心とした製薬会社から200人以上の社員を獲得し、加熱式たばこの研究に注力しました。

PMは世界中で稼いだ潤沢なキャッシュフローをヒト、カネ、時間に使いiQOSを開発したというわけです。PMの歴史は健康被害や訴訟問題と隣り合わせだったので健康リスクを低減させるiQOSはPMにとって悲願の新製品なのです。

しかし、iQOSはいまだ臨床試験中で健康リスクの低減は証明されていないことに加えて、疾病との関連性証明に20年もかかります。それでもPMのアンドレ・カランザボラスCEOは「将来的には、全ての紙巻きたばこを、iQOSを含むRRP(リスク低減製品)に切り替える」と豪語しています。

これはたばこ市場の下降トレンドが止まらないことが挙げられますが、紙巻きたばこの時代の終焉と加熱式タバコの時代の始まりと言ったタバコ業界の転換点であると確信しているからに他ならないと思います。

ちなみに「加熱式たばこ」事業は赤字が続いており先行投資の段階です。しかし東京都で爆売れしていることなどから2018年にも黒字化が見込まれており、今後ますます注目されます。

グッドラック。

(出典:『週刊ダイヤモンド 2016年 7/16 号「フィリップ・モリスの野望」 』)
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