バフェット太郎です。

著名投資家のウォーレン・バフェットは「株式投資に見逃し三振はない」と言いました。そこで未熟な投資家ほど「なるほど、低PERの割安株を買えばいいわけね」とか「P&GのPER27倍とか高すぎワロタwww」と安易な結論を出します。

しかし、賢明な投資家は安易にPERを信じてはいけません。

そもそもPER(株価収益率)とは、株価がEPS(一株当たりの利益)に対して何倍の値段で取引されているかを示す指標です。この数値が高いと「割高」で低い「割安」と言ったりします。通常12~20倍が適正だと言われますが、必ずしもそうとは言えないのがPERの難しいところです。

具体的な例を挙げてみると以下のようになります。

A:株価100ドル、EPS10ドル、PER10倍
B:株価100ドル、EPS1ドル、PER100倍

この場合、教科書通りならAが割安でBが割高だと判断します。しかし、現実は必ずしもそうとは言い切れません。

例えば、A社の来期のEPSが5ドルと予想される場合、予想PERは20倍になります。一方でB社の来期のEPSが5ドルと予想される場合、予想PERは20倍となり、A社の予想PERと同じになります。

つまり、将来の見通し次第でPERはいくらでも変化するわけです。従って、投資家は今の数値だけを見るのではなく、将来の利益見通しを考慮したうえで今のPERを判断しなければならないのです。

これは極端な例を挙げているわけではなくて、実際に起きていることです。

アップル(AAPL):株価98.66ドル、EPS8.98ドル、PER10.98倍
シェブロン(CVX):株価105.66ドル、EPS0.69ドル、PER152.91倍

PERだけを比較すれば、AAPLは「割安」でCVXは「割高」だと言えます。しかし、投資家は現在のPERだけを見て判断をしてはいけなくて、将来の見通しを考慮して判断しなくてはいけません。

2018年通期の予想EPSから算出される予想PERは以下の通りです。

AAPL:株価98.66ドル、予想EPS11.01ドル、予想PER8.96倍
CVX:株価105.66ドル、予想EPS7.72ドル、予想PER13.69倍

両社のPERが近づいてきたでしょ。(まだAAPLの方が割安に見えるけど)。

次に配当利回りを加えた場合の両社の株主利回りは以下の通りになります。

AAPL:PER8.98倍(利回り11.1%)+(配当利回り2.31%×2年)=株主利回り15.7%
CVX:PER13.69倍(利回り7.3%)+(配当利回り4.05%×2年)=株主利回り15.4%

両社の株主利回りはほとんど同じになりました。

このように将来の利益見通しと、将来に渡って得られるであろう配当を総合して考えると、PER10.98倍のAAPLとPER152.91倍のCVXはそれほど割安度に大差はないということがわかるわけです。

さて、投資家はさらに考えなければなりません。現状のPERはあくまで市場が予想している利益見通しにすぎないからです。

「市場はAAPLの2018年の予想EPSを11.01ドルと予想しているけれど、私はそうは思わない。アップル製品への熱狂は冷めているし、これから他社が魅力的な新製品を発売したら将来の利益はもっと落ち込む。実際、私は10年と同じ会社のデジタル製品を使ったことはない。競争の激しい業界だからこそ、他社の新製品がシェアを伸ばすのは必然だ」

「私はAAPLの予想EPSを10ドルと算出する。この場合の株主利回りは14.49%となるので、CVXの株主利回り15.4%を下回る。従って、AAPLよりCVXの方が「割安」と言える」。

なんて言う風に二次的思考を巡らせて考えることだってできます。もちろん、投資家によって原油価格の見通しを引き下げる人もいますし、将来の自社株買い規模はAAPLの方が大きいと考えて「CVXよりAAPLの方がやっぱり割安だ」と考えることもできます。

つまり、バフェット太郎が何を言いたいかって言うと、PERを見たって割安か割高か正直わかんない!でも、安易にPERを信じるなYOってこと。

効率的市場仮説に従えば、米国の超大型優良株はPERが何倍であろうとも、将来の見通しを考慮すれば、適正な水準に落ち着いていると言えるんです。

しかし、「熱狂」や「恐怖」が投資家の心を支配したとき効率的市場仮説は崩壊します。そこでウォーレン・バフェットの言葉を思い出してください。

「株式投資に見逃し三振はない」

誰もが株式相場を悲観的に見ているとき、バットを振る機会、つまり割安株投資のチャンスが生まれるわけです。そしてそれは今じゃない。

グッドラック。