バフェット太郎です。

長期投資家の始祖、本多静六は日本鉄道株で増やした資産3万7500円で、埼玉県の山奥にある山林を片っ端から買収しました。

当時、鉄道から遠く、道路もほとんどない山奥の山林は、税金がかかるだけでタダでも買い手が見つからない状況でした。そのため、3000坪もの土地がわずか4円程度で売られており、しかもそれをいちいち測ったりすることもできないため、適当にこっからあっちまでが1万坪といった具合に買い取っていったのです。

中には山林を買いたがる物好きがいると聞いた村民たちが、こぞって持ち山を売りつけに来たほどでした。今や4万円弱もの資産家となった本多静六にとって、3000坪たったの4円はタダ同然だったので、片っ端から買収できたのです。最後は三菱、三井といった有力財閥が競争者として現れましたが、そのころには山林を買い増し続けた結果3000万坪にもなっていたそうです。

本多静六が山林を片っ端から買収したところへ日露戦争後の好景気がやってきて、住宅建設などの需要が急増し、木材価格が高騰しました。そこで、3000坪4円で買った土地を3000坪280円で売り抜けることに成功し、一躍成金になったのです。

★★★

投資家なら誰もが、「買値から何十倍にもなって売り抜けることができた」というエピソードには興奮します。故に、将来のテンバガー(10倍銘柄)は何だとかついつい探したくなるものですが、本多静六は非常に苦しい倹約生活を乗り越え、蓄財したお金で大きく投資したことを忘れないでください。
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日本の中・小型株に投資しているほとんどのサラリーマン投資家は、苦しい貯蓄をすることよりも、数十万円程度の運用資金で10倍銘柄を見つけてサクッとお金持ちになろうと、自分に都合の良いことばかり考えている投資家が少なくないように感じます。

もちろん、それほど貯蓄をしなくてもお金持ちになれるチャンスはあります。当時、それほど貯蓄していなかったと思われる村民たちが、山林を本多静六に売らずにジッと持っていたら、それだけでお金持ちになれたかもしれません。つまり、貯蓄しなくてもお金持ちになれるチャンスは誰にだってあることもまた真実なのです。

しかし、本多静六はそれでも倹約的な生活を人々に勧めています。なぜなら、本多静六の長年の経験則によれば、贅沢な暮らしをしていては、ほとんどの人たちは十分な貯蓄も投資のための種銭もつくることができないため、いつまで経っても貧乏なままであることの方が多いからです。

お金持ちになり、お金に縛られない生活をするためには、運用することが重要です。そしてその運用資金をつくるためには十分な貯蓄が大事で、十分な貯蓄をするためには倹約的な生活をしなければなりません。従って、日本の中・小型株に投資しているサラリーマン投資家は、テンバガーを探すよりも、自分の家計をもう一度見直して、「四分の一天引き貯金法」で倹約生活に励み、十分な種銭を先に作った方がお金持ちになるための最短距離だと思いますよ。

グッドラック。

(参考文献:私の財産告白 (実業之日本社文庫)


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