バフェット太郎です。

ウォールストリート・ジャーナル』に「債券から株への『大転換』、今度こそ本物か」との記事。

【フェデラル・ファンド金利1952-2014】
1
現在の政策金利は0.50~0.75%ですが、歴史を振り返ればこれほど金利が低迷していた時期はなかったです。1981年は大量の資金が債券から株式に流入し、政策金利は18%を超えていましたが、それから34年間、一貫して債券へ資金が流入し続けました。そしてついに34年に及ぶ米国債の強き相場が終焉を迎えようとしています。

【米10年債チャート1790-2014】
21
チャートは220年分の米10年債チャートです。長い歴史を振り返ると、金利は長期の上昇トレンドを形成したあと、長期の下落トレンドを形成する傾向にあります。そして上昇トレンドの長さと下落トレンドの長さがほとんど同じという特徴もあります。

過去の経験則に従えば、1945年から1981年にかけて36年間、金利が上昇したことから、34年後の2016年末、そろそろ米国債の強き相場が終わると予想できるわけです。

金利が上昇する局面では米国債や金が売られ、株が買われると思われがちです。実際、金利が上昇すると株が上がり債券価格や金価格は値下がりしますが、長期トレンドで眺めるとそうとも言い切れません。1945年から1981年にかけての36年間、NYダウは150ドルから1000ドルと6.7倍しか上昇していないのです。一方で金利の上昇に弱いとされる金価格は1オンス34.71ドルから800ドルと23倍にも上昇したのです。

もちろんこれは、1971年に1オンス35ドルで固定されていた金価格がニクソン大統領の号令のもと、変動相場制へと移行したことが大きな要因です。また、金価格高騰の背景にはロシアがアフガニスタンに侵攻したり、イラン・イラク戦争が勃発したりするなど、国際情勢への危機感が高まったことが挙げられます。
SPONSORED LINK
国債利回りが上昇した70年代をもう少し詳細に振り返ると、72年に「ニフティ・フィフティ(素晴らしい50銘柄)」がブームとなり、当時の米国を代表する銘柄が大きく買われました。しかし、すぐにバブルは弾け、低成長と高インフレのいわゆる「スタグフレーション」の時代に突入します。(ちなみに元FRB議長アラン・グリーンスパン氏は、今後米国経済はスタグフレーションに陥るのではと危惧しています)。

スタグフレーションの時代、1964年、800ドルだったNYダウは、18年後の1982年になっても800ドルのままでした。こうしたことから、個人投資家は不確実性を嫌い、MMF(マネー・マーケット・ファンド)など、利回りの高い国債や地方債を中心に投資する投資信託の一種に投資していました。一方で積極的にリスクを選好する投機家たちはインフレに対するヘッジとしてコモディティに投資しました。これが金利の上昇局面で金価格が上昇した本当の理由です。

従って、これから20年~40年に渡って金利が大きく上昇する局面では、個人投資家は高利回りの米国債などに投資妙味を覚えると思います。一方で、アラン・グリーンスパン氏が危惧しているように米国経済が「スタグフレーション」に直面するようであれば、株価は低迷すると可能性が高いです。

しかし、米国経済が「スタグフレーション」に陥ったのは金利上昇局面の中盤以降で、金利が上昇し始めてから15年以上経ってからでした。現在を振り返れば、金利はまだ上昇を始めたばかりです。従って、バフェット太郎は短期的にはスタグフレーションに陥るのではなく、株価が大きく上昇する可能性の方が高いと予想しています。

過去を振り返れば、金利が長期の上昇トレンドに乗ってから最初の15~20年間は株価が上昇しやすいことが確認できます。
20
緑の枠で囲ったところが序盤から中盤にかけての金利上昇局面です。どちらの場合も株価が大きく上昇しています。つまり、これから「債券から株へ」の大転換が起きるなら、株価は大きく上昇すると思います。しかし、20年後の中盤以降は、インフレヘッジを目的として金などのコモディティが上昇しやすいと予想できるわけですが、それはずっとずっと後の話です。

余談ですが70年代の後半、コモディティ投資で100倍のリターンを叩きだした女性投機家がいます。彼女は生牛、大豆、生豚の先物取引をし、当初の1000ドルをわずか10カ月で10万ドルまで増やして投機から手を引いたそうです。彼女の投機で驚くべき点は、家畜価格が二倍以上に上昇した時期に取引のほとんどを「売り」から入っていたことです。

ある人に言わせれば、このような投機で資産を100倍に増やせるのは、「真夏の砂漠で雪だるまを見つける確率より低い」そうです。ちなみに投機で成功した女性は、先日の米大統領選挙で惜しくも敗れたヒラリー・クリントン氏です。

グッドラック。
SPONSORED LINK