バフェット太郎です。

16日の外国為替市場でポンドが対ドルに対して一時1ポンド1.19ドル台後半と、前週末の1ポンド1.22ドルを大幅に下回り、昨年のフラッシュクラッシュ以来の安値をつけました。これはメイ首相が17日の演説でEU(欧州連合)単一市場からの撤退を表明すると複数の英メディアが報じたことをきっかけに、ハードブレグジットに向かうのではとの懸念が高まったためです。
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メイ首相は17日に予定されている演説で、国民や議会に向けて離脱戦略の大筋を示すわけですが、ここでEU単一市場から退場することと引き換えに、移民制限を最優先とすることを表明します。

EU単一市場から退場するということは、英国内で免許を取得するとEU域内で自由に業務ができる「単一パスポート制度」を活用できなくなります。これは金融立国である英国の金融機関にとって悪影響が大きいです。その他にもモノやサービスのEU市場へのアクセスも不透明感が急速に高まっており、市場はこうした不透明感を嫌うため、ポンドはしばらく低迷し続けると思います。

一方でポンド安が続けば、「英国に投資をしようと考える企業や投資家が増えるのでは?」と楽観視する人もいますが、実際はそんな単純にはいきません。なぜなら3月末より開始される交渉期間はおよそ二年間に及ぶからです。経営者の立場からすれば二年間とはとても長い期間であり、政治的に不安定な国に進んで投資したいかというとそうはならないからです。それは例えポンド安が続いたとしてでもです。

ほとんどの経営者や投資家は不透明感の強い市場にわざわざ投資するよりも、労働市場が改善しており、金利は上昇基調、金融規制の緩和が期待され、法人税が減税される米国に投資しようと考えるのは自然な成り行きです。当然米国に投資マネーが流入すればドル買いポンド売りを意味するわけですから、英国のポンド建て資産はこれからもしばらく目減りすることが予想されます。

また、市場の予想に反してソフトランディングに向かうのではと期待する人もいるかもしれませんが、絶対にそうはなりません。なぜならEUとは欧州の小国が協力し合うことで、特定の国々に経済制裁を加えたり、イスラム過激派組織などのテロリストに対して強力な防衛手段を行使してきました。EUが解体すればロシアや中東、イスラム過激派組織が好き勝手暴れるし、それに対して武力を行使してくれる世界の警察はいないので、この協力関係を崩せば自らの手で首を絞めることを意味するからです。

従って、EUは英国がEUを離脱したことを後悔するくらい、見せしめのような厳しい態度で挑む必要があります。加えて今年はドイツとフランスで選挙が控えており、EU離脱を目標にする政党が台頭していることや選挙直前にテロ攻撃が予想されることも、EUが強硬姿勢にならざるを得ない動機となります。

グッドラック。
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