バフェット太郎です。

19日のNYダウ株式市場は前日比-72.32ドル(-0.37%)安の1万9732.40ドルと五日続落で取引を終えました。この日発表された経済指標は良好だったものの、大統領就任式を明日に控えて警戒ムードが広がりました。

米新規失業保険申請件数は予想25万4000件に対して、結果23万4000件と市場予想を下回り、米国の労働市場がさらに引き締まり、今年の経済成長を下支えすることを示唆しました。

さて、FRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長はかねてから米国経済を回復させるためにはインフレ率2%を目標に掲げています。なぜ2%なのかと言うと、この水準を保つことが先進国の健全な成長を促し、緩やかな経済規模の拡大を実現させるものと信じられているからなのですが、この2%の目標を達成させるためには賃金が3.0~3.5%増加しなければならないと言われています。

当然、政府や中央銀行が賃金を引き上げることはできません。日本のアベノミクスにおいては、安倍首相が国会答弁で「企業業績は改善・拡大したものの、利益は内部留保に蓄えられただけで、賃金の上昇には繋がらなかった」と発言している通り、政府や中央銀行が賃金を引き上げることが難しいです。

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そのためイエレン議長はスラック(余剰資源)の縮小を促しました。スラックとは、やむなくパートタイム職に就いている人や職探しを諦めた人たちのことです。異次元の金融緩和を長く続けることで、彼らを再び労働市場に参加させ、スラックを縮小させ、企業が人材確保するのに困難な状況を作り上げます。そうすることで企業側が賃金の引き上げに踏み切らざるを得ないように仕向けるわけです。

12月の雇用統計で賃金は2.9%増加したので、概ねFRBのシナリオ通りに米国経済は動いているというわけです。

一方日本では、正社員を簡単に解雇できないため、中小企業が積極的に正社員を採用したがりません。また、長く続けることで居心地が良くなるため人材の固定化が進み、ますます新規採用の枠がなくなる悪循環に陥っています。そうした中ではスラックが縮小する余地がないので、企業も賃金を引き上げる必要がありません。これが日本と米国で同じような金融緩和をしても賃金が上がらない理由です。

そのため日本は残業の削減と副業を促すことで所得を増やす計画を練っています。そうすれば正社員という既得権益を壊すことはないし所得も上がるからです。所得が上がれば消費支出が活発になり景気も改善します。とは言え、就業後や休日のアルバイトが過労死の原因となっても、それは本人の責任であって誰の責任でもないので過労死自体は増加するかもしれませんが。

グッドラック。
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