バフェット太郎です。
2月3日のNYダウ株式市場は、前日比+186.55ドル(+0.94%)高の2万0071.46ドルと今年最大の上昇率を示し、2万ドルの大台に回復して取引を終えました。上昇した主な要因は、金融規制の緩和への期待感と、予想を上回る雇用統計が好感されたためです。
この日、トランプ大統領は金融規制の緩和に向けてドッド・フランク法(金融規制改革法)の見直しを指示する大統領令に署名しました。金融緩和による投資銀行への恩恵が注目される中、金融株が大幅に上昇しました。
ゴールドマン・サックス(GS)+4.57%高、JPモルガン・チェース(JPM)+3.06%高、シティ・グループ(C)+3.18%高、バンク・オブ・アメリカ(BAC)+2.51%高、ウェルズ・ファーゴ(WFC)+2.73%高でした。
トランプ氏は署名に先立ち、「私には素晴らしい事業を持っていた多くの友人がいるが、彼らはドッド・フランク法の規制のせいで銀行から資金を借り入れることができなかった」として、金融規制による締め付けを批判していました。
また、労働省が発表した1月の米雇用統計は以下の通りでした。
非農業部門雇用者数は予想17万5000人増に対して、結果22万7000人増と予想を大きく上回りました。特に建設業と小売業で雇用が拡大しました。
失業率は予想4.7%に対して、結果4.8%と予想より1%pt上昇しました。これはやむなくパートタイム職として働いていた人や、働くことを諦めていた人たちが職探しを再開した結果、労働参加率が上昇したためです。つまり、失業者が増加したとは言えないというわけです。
一方で、時間当たり平均賃金の増加率は前年比2.5%増と、前月の2.8%から鈍化しました。これにより3月の利上げ観測が急速に後退しました。
FRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長は、かねてから米国経済を回復させるためにはインフレ率2%を達成しなければならないとし、そのためには賃金が3.0-3.5%増加する必要がある考えられています。
賃金を引き上げるために、政府や中央銀行が民間企業に対して圧力をかけることはできませんから、賃金が自然に上昇するように仕向けなければなりません。そこでイエレン議長は、スラッグを引き締めることで賃金が上昇するようにしました。
スラッグとは労働市場の需給の緩みのことで、やむなくパートタイム職に就いている人や職探しを諦めた人たちのことです。彼らを再び労働市場に参加することでスラッグを縮小させ、企業の人材確保を困難にし、人材確保のために賃金を引き上げざるを得なくさせるというわけです。
ただし、今回の雇用統計を眺めると、失業率が増加して賃金の伸び率が鈍化していることから、スラッグ(労働市場の緩み)がまだまだ存在している可能性があり、企業が賃金を引き上げざるを得ない状況にはなっていないことが浮き彫りとなったため、インフレ率2%達成は遠くなってしまいました。
そのため利上げ観測は後退し、CMEフェドウォッチによれば、市場が織り込む3月の利上げ確率は雇用統計前の25%から、雇用統計後は10%未満になりました。一方で、6月の利上げ確率は60%を超えています。
利上げ観測が後退したことを受けて、ドルは売られ円が買われたことで1ドル112円台で推移しています。
ダイバージェンスはこれまでのトレンドが最終局面に差し掛かっていることを知らせてくれる指標であるため、ダウが将来的に「売り」であることを示唆しています。ちなみに50日移動平均線からかなり乖離していることも、不吉な前兆となっています。
株価がいつ頃から崩れ始めるかはわかりませんが、「その日」は近いと思います。
グッドラック。
(関連本:ウォールストリート・ジャーナル式 経済指標 読み方のルール )
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2月3日のNYダウ株式市場は、前日比+186.55ドル(+0.94%)高の2万0071.46ドルと今年最大の上昇率を示し、2万ドルの大台に回復して取引を終えました。上昇した主な要因は、金融規制の緩和への期待感と、予想を上回る雇用統計が好感されたためです。
この日、トランプ大統領は金融規制の緩和に向けてドッド・フランク法(金融規制改革法)の見直しを指示する大統領令に署名しました。金融緩和による投資銀行への恩恵が注目される中、金融株が大幅に上昇しました。
ゴールドマン・サックス(GS)+4.57%高、JPモルガン・チェース(JPM)+3.06%高、シティ・グループ(C)+3.18%高、バンク・オブ・アメリカ(BAC)+2.51%高、ウェルズ・ファーゴ(WFC)+2.73%高でした。
トランプ氏は署名に先立ち、「私には素晴らしい事業を持っていた多くの友人がいるが、彼らはドッド・フランク法の規制のせいで銀行から資金を借り入れることができなかった」として、金融規制による締め付けを批判していました。
また、労働省が発表した1月の米雇用統計は以下の通りでした。
非農業部門雇用者数は予想17万5000人増に対して、結果22万7000人増と予想を大きく上回りました。特に建設業と小売業で雇用が拡大しました。
失業率は予想4.7%に対して、結果4.8%と予想より1%pt上昇しました。これはやむなくパートタイム職として働いていた人や、働くことを諦めていた人たちが職探しを再開した結果、労働参加率が上昇したためです。つまり、失業者が増加したとは言えないというわけです。
一方で、時間当たり平均賃金の増加率は前年比2.5%増と、前月の2.8%から鈍化しました。これにより3月の利上げ観測が急速に後退しました。
FRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長は、かねてから米国経済を回復させるためにはインフレ率2%を達成しなければならないとし、そのためには賃金が3.0-3.5%増加する必要がある考えられています。
賃金を引き上げるために、政府や中央銀行が民間企業に対して圧力をかけることはできませんから、賃金が自然に上昇するように仕向けなければなりません。そこでイエレン議長は、スラッグを引き締めることで賃金が上昇するようにしました。
スラッグとは労働市場の需給の緩みのことで、やむなくパートタイム職に就いている人や職探しを諦めた人たちのことです。彼らを再び労働市場に参加することでスラッグを縮小させ、企業の人材確保を困難にし、人材確保のために賃金を引き上げざるを得なくさせるというわけです。
ただし、今回の雇用統計を眺めると、失業率が増加して賃金の伸び率が鈍化していることから、スラッグ(労働市場の緩み)がまだまだ存在している可能性があり、企業が賃金を引き上げざるを得ない状況にはなっていないことが浮き彫りとなったため、インフレ率2%達成は遠くなってしまいました。
そのため利上げ観測は後退し、CMEフェドウォッチによれば、市場が織り込む3月の利上げ確率は雇用統計前の25%から、雇用統計後は10%未満になりました。一方で、6月の利上げ確率は60%を超えています。
利上げ観測が後退したことを受けて、ドルは売られ円が買われたことで1ドル112円台で推移しています。
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ダウの週足チャートです。未来の手掛かりを探るためにチャートを眺めると、RSIの上値が切り下がっている一方で、株価の上値が切り上がっている逆相関、いわゆるダイバージェンスが発生していることが確認できます。ダイバージェンスはこれまでのトレンドが最終局面に差し掛かっていることを知らせてくれる指標であるため、ダウが将来的に「売り」であることを示唆しています。ちなみに50日移動平均線からかなり乖離していることも、不吉な前兆となっています。
株価がいつ頃から崩れ始めるかはわかりませんが、「その日」は近いと思います。
グッドラック。
(関連本:ウォールストリート・ジャーナル式 経済指標 読み方のルール )
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