バフェット太郎です。

10日のNY株式市場は、前日比+96.97ドル(+0.48%)高の2万269.37ドルと史上最高値を更新して取引を終えました。この日も引き続きトランプ大統領の税制改革への期待が続き、マーケットは上昇して始まりました。

その後、日米首脳会談で上げ幅を拡大させたものの、共同記者会見では注目されていた為替相場や通商政策に関する具体的な言及はなく、トランプ大統領からも日本の通貨政策に関する批判もありませんでした。こうした手がかり感のなさを受けて、相場はやや小幅に下げて取引を終えました。

米原油先物相場は続伸しました。OPEC(石油輸出国機構)加盟国の減産順守率が過去最高の90%に達したことが、IEA(国際エネルギー機関)の月報で明らかになりました。これは主要産油国のサウジアラビアが合意内容を上回る規模の減産を実行したことが大きく貢献しました。また、石油需要は予想以上に増加していることも明らかになりました。

そもそもOPECの減産合意は「囚人のジレンマ」に陥っていました。

囚人のジレンマ

共犯の二人を自白させるために、検事は二人をそれぞれ別の部屋に連れていき、以下の司法取引を持ち掛けます。

一、二人とも黙秘するなら、二人とも懲役2年。
二、一人だけが自白した場合、自白した者は懲役0年、黙秘した者は懲役10年。
三、二人とも自白した場合、二人とも懲役5年。

この場合、囚人は「黙秘」するか、あるいは「自白」するかの二択に迫られるわけですが、「黙秘」する場合、懲役2年か10年のどちらかになります。しかし、「自白」すれば懲役0年か5年のどちらかになります。

これは相手と「協力する」か、あるいは「裏切る」かが問われるわけです。この囚人のジレンマで最高の結果は、相手を裏切り懲役0年になることです。一方で最悪の結果は、相手に裏切られて懲役10年になってしまうことです。

本来はお互いに協力し合って「黙秘(協力)」し、二人とも懲役2年になることが最も望ましいですが、最悪の結果を回避するためにお互いが「自白(裏切る)」を選択するのです。

今回のOPEC減産合意も、その「囚人のジレンマ」に陥っていると言えます。

減産合意によりOPEC加盟国で最も得をするのは、他国が減産する中で増産をした国です。一方で、減産に協力した者が馬鹿を見ます。従って今回の減産合意も、本当に減産するかどうかを見極めるまでは、多くのトレーダーはなかなか楽観的にはなれなかったのです。

しかし、蓋を開けてみれば減産順守率は90%を達成し、リーダー国のサウジは合意を上回る減産を実施したことや、予想外に需要が増加していることを受けて原油先物相場は上昇しました。
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原油先物相場の日足チャートです。54.5ドルのレジスタンス(上値抵抗線)をブレイクアウトできるかが試されています。

ちなみにサウジが減産合意した規模以上の減産に踏み切ったのは、何もサウジが「超イイやつ!!」ってわけではありませんからね。

サウジは国営石油会社サウジアラムコのIPOを控えていて、予想時価総額は2兆ドルになるとも言われています。これは株価が10%上昇するだけで2000億ドルもの利益がサウジに転がり込んでくることを意味するので、サウジは何が何でも原油価格を上昇させ、IPOを成功させたいと考えているのです。

5月のOPEC総会では確実に減産が履行されていることを証明し、原油価格の将来見通しに誰もが楽観的な見方ができるように、サウジは他国の「裏切り」まで想定しつつ、短期的な歳入を捨ててまで大幅な減産に踏み切ったわけです。

ただし、ここからさらに大きく上昇するかは懐疑的な見方が多いです。その背景にあるのが米シェール企業の動きです。米石油サービス会社のベーカー・ヒューズが発表したリグ(石油掘削装置)の稼働数は583基と15年10月以来の高水準まで回復してきているのです。

シェール企業の平均採算ラインは50ドル程度と言われており、現在の53ドルは採算ラインを突破し、シェール企業が増産体制に入ることを示唆しています。

つまり、これからさらにリグが増加し、シェールオイルの生産量が再び増加する中では、原油価格も上昇しにくく、反対に供給過剰懸念から急落しかねないのです。

そうした中でエネルギー株は手放した方が良いのでしょうか。
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チャートはエクソン・モービル(XOM)の超長期チャートです。過去を振り返ればRSIが50ptを割り込んだ時が「買い場」であることを教えてくれているので、現在は手放すのではなく、むしろ買い増す時期だと考えるのが自然です。

グッドラック。

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