バフェット太郎です。

ウォールストリート・ジャーナルによれば、M&A(買収・合併)が20年ぶりの低水準に落ち込んでいるとのこと。企業のM&A件数増加は、バブル崩壊の足音が近づいて来ていることを教えてくれますが、今はそれと真逆のことが起きています。つまり、株式市場の強気トレンドはまだしばらく続くというワケです。
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(出所:ウォールストリート・ジャーナル

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上のグラフを眺めると、00年のITバブルと08年の金融危機でM&A件数がピークを打ったことが確認できます。これは、当然ですが株式市場が暴落したからM&A件数が減少したためであって、M&A件数が減少したから株式市場が暴落したわけではありません。ただし、M&A件数が大きく伸びると、それはバブル崩壊が近いことを教えてくれることも確かです。

一方でバリュエーションを表す右のチャートは必ずしも将来の先行き見通しを教えてくれるわけではありません。現在、バリュエーションは12.8ポイントと過去22年間で二番目に高い数値を示していますが、過去最高だった96年を振り返れば、その後97年にアジア通貨危機に直面してダウ平均は高値から一時16%安に沈むも、その半年後には元の水準を超えるほどに回復し、00年のITバブル崩壊まで一貫して上昇を続けました。

こうしたことから投資家はバリュエーションの高さを恐れる必要はないことがわかります。では、なぜM&A件数が低調であるのにも関わらず、バリュエーションが割高なのでしょうか。

そもそもM&A件数が低いのは将来の先行き見通しが悪いからに他なりません。トランプ政権による法人税の減税と通商政策の見直し、英国のEU離脱計画を巡る先行き懸念の高まりなどを理由に、企業のM&A担当者はなかなかゴーサインを出せずにいるのです。

一方で、企業は経営戦略上、どうしても買収しておかなければならない案件があります。例えば通信大手のAT&T(T)は、次世代ネットワークの中心になるとされる周波数帯の利用権を大量に保有するストレート・パス・コミュニケーションズに対して16億ドルの買収額を提示しました。

しかし、その後ライバルのベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)が12.5%のプレミアムをつけて18億ドルで買収すると提案したことで買収額が吊り上がりました。ちなみにストレート・パス・コミュニケーションズの第2四半期決算は赤字で売上高は20万ドル程度なので、18億ドルの買収額はバリュエーション的に明らかに割高です。しかし、両社は経営戦略上、買収しなければならない案件なら、多少割高でも構わず買い向かうしかないのです。

こうしたことから、先行き見通しの悪さからM&A件数が低調になる一方、企業にとって優先度の高いM&Aが割高になることでバリュエーションが高くなるというわけです。

別の言い方をすれば、法人税の減税や通商政策の見直し、英国のEU離脱計画に対する先行き見通しがハッキリすれば、企業のM&A担当者はゴーサインを出しやすくなり、M&A件数は一気に増えることが予想されます。

つまり、誰もが将来の先行き見通しに対して楽観的になる時、バブルが生まれるわけです。

グッドラック。

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