バフェット太郎(@buffett_taro)です。

ネット小売世界最大手のアマゾン・ドット・コム(AMZN)は、これまで家電業界や玩具業界、アパレル業界、百貨店業界、食品スーパー業界など、多くの小売企業を駆逐してきましたが、今度は調剤業界を狙って攻勢をかけようとしています。

今年5月、アマゾンが調剤業界の参入を検討しているとの報道が伝わると、ドラッグストア米最大手のCVSヘルス(CVS)と二位のウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(WBA)の株価は業績悪化を懸念して次第に売られるようになり、先月26日にアマゾンが複数の州で医薬品卸売業の許可を得たとの報道が伝わると、再び大きく売られました。

【CVSヘルス:CVS】
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【ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス:WBA】
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S&P500指数が年初来で+15.29%高と大きく上昇する中で、CVSヘルスはー12.57%安、ウォルグリーンはー22.09%安と急落しています。

CVSヘルスやウォルグリーンは金融危機後、業績は安定して拡大し、配当と自社株買いを通じて積極的に株主に還元してきたことから、多くの自称長期投資家から選好されている銘柄です。また、PERも比較的低かったため自称バリュー株投資家たちがこぞって割安だとして選好していた銘柄でもあります。

しかし、彼らの予想とは裏腹に株価は下落、長期的な低迷が予想されつつあります。

★★★

2013年以降、CVSヘルスとウォルグリーンはネット通販の台頭を受けて、小売りから調剤へと舵を切り始めました。例えばCVSの場合、化粧品や日用品などの小売り販売が総売上高に占める割合は2013年の52%から16年46%と低下し、ウォルグリーンも37%から33%と低下しました。

このように、CVSヘルスとウォルグリーンは化粧品・日用品から調剤へと経営の舵を切ってきたのですが、経営資源を集中させている調剤部門が今まさにアマゾンに攻勢をかけられそうになりつつあるのです。

アマゾンのIR(投資家向け広報)責任者によれば、医療分野について、主に法人向け通販サイト「アマゾン・ビジネス」を通じた病院、研究所、政府機関へのサービス提供が目的だとのこと。しかし、仮にアマゾンが調剤業界に参入すれば、顧客はわざわざ店舗に足を運ぶことをしなくて済むので、CVSヘルスとウォルグリーンの処方薬売上高も大幅に減少することが予想されるため、投資家は注視する必要があります。

ちなみに、家電業界やアパレル業界などが駆逐される中で、唯一無傷な小売業界があります。それはホームデポ(HD)やロウズ・カンパニーズ(LOW)などのホームセンター業界です。

ホームセンター業界だけ無傷な理由は、建材や工具、カーペット、塗料、園芸用品などは、商品がかさばるため送料を安く抑えることができないからです。

また、売上高の30~40%を占めるとされる専門の請負業者は、必要なものを店舗ですぐに購入することを好む傾向があったり、DIYを目的とした一般客は、購入前に店員のアドバイスを希望したり、実際に商品を手に取って確認したいという傾向があるからです。

そのため、しばらくの間はホームセンター業界の牙城は崩されないと予想されています。しかし、アマゾンが高級スーパーチェーン店のホールフーズを買収して実店舗経営に乗り出したことを考えれば、いずれ
実店舗を構えてホームセンター業界に参入することも考えられます。

その時はこれまで小売り株がボコボコに売られてきたように、ホームセンター株もボコボコに売られるかもしれませんね。

グッドラック。

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