バフェット太郎(@buffett_taro)です。

税制改革法案は米ハイテク大手にとってデメリットの方が大きくなるかもしれない。

そもそも今回の税制改革では、法人税率が現行の35%から21%に引き下げられるだけでなく、米国企業が海外に貯め込んだ利益を米国に戻す際に一回限りの課税を行い、税率は現金などの流動資産に対して15.5%と、現行の35%から大幅に引き下げられることになっています。

これにより、米国企業が海外に貯め込んでいる2兆6000億ドル(約293兆円)の利益のうち、約半分が米国に還流され、その資金が配当や自社株買いなどの株主還元や設備投資に向けられることが期待されています。

しかし、税制改革法案には租税回避を目的にプエルトリコやアイルランドなどの低税率国の利用を抑制するための条項が盛り込まれており、これが米ハイテク大手にとって痛手になる可能性があります。

現行法では、米国企業は海外の利益に対して最大35%の税率が課せられますが、これは米国にその利益を戻した場合に課せられる税率です。そのため、ハイテク企業や製薬企業はアイルランドなどの低税率国で利益を計上し、そこに利益を貯め込むということをしているのです。
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例えば、マイクロソフト(MSFT)はプエルトリコに子会社を置き、その子会社が親会社マイクロソフトの知的財産に対する権利を購入。購入した権利を北米の流通業者に転売すれば、北米の利益をプエルトリコで計上することができてしまうのです。ちなみに、プエルトリコでの税率はわずか2%で、実効税率は23.3%とすでに低水準となっています。

こうしてマイクロソフトが米国外に1320億ドル(約14兆9000億円)も貯め込み、アップル(AAPL)に至っては2520億ドル(28兆4000億円)も貯め込んでいます。

しかし、今回の税制改革法案で租税回避を目的とした低税率国の利用を抑制する条項があり、これによりマイクロソフトなど大手ハイテク企業は将来、海外利益に対して最低10.5%の税金の支払いが余儀なくされ、海外子会社を持つメリットが失われる可能性があるのです。

そのため、すでに租税回避して税率を抑えている企業は税制改革法案の恩恵をあまり受けることがなく、場合によってはむしろ増税になる可能性があるのです。

ちなみに、2007年~2016年までの平均実効税率が特に低く抑えられている大手ハイテク企業にはクアルコム(QCOM:17.1%)やシスコシステムズ(CSCO:18.5%)、アルファベット(GOOGL:19.7%)、IBM(IBM:21.7%)、マイクロソフト(MSFT:23.3%)、オラクル(ORCL:23.9%)、インテル(INTC:25.0%)、アップル(AAPL:25.8%)などがあります。

グッドラック。

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