バフェット太郎です。

米国が鉄鋼・アルミニウムに対する輸入関税率を引き上げるなど保護主義に走るなか、各国は報復関税で対応せざるを得なくなるなど、世界貿易戦争への懸念が高まっています。

過去を振り返れば、世界貿易戦争は世界全体にとって悪影響を及ぼすことが明らかなので、米国の保護主義はお互いに首を絞め合っていることを意味します。

過去、世界が貿易戦争に陥ったのは1930年代で、当時スムート・ホーリー法(関税法)が施行されたことで世界経済に打撃が与えられました。

そもそもスムート・ホーリー法が制定された背景には政治的な要因がありました。

当時、第一次世界大戦(1914ー1918)の主戦場となっていた欧州で農業生産が大きく落ち込んでいました。そのため、欧州以外の国々が農業生産を拡大させて供給不足を補おうとしたのですが、終戦後、欧州の農業生産が急速に回復したことで供給過剰状態に陥り、農産物価格が急落してしまいました。

これを受けて、米国の農家の人たちは農業不況に陥ったのですが、そこで登場したのが共和党のフーバー大統領候補で、フーバー氏は農家保護を目的に農産物の関税率を引き上げることを公約に掲げて大統領選挙に勝利しました。

当時の農業従事者は全米人口の25%を占めていたため、農家の支持を得ることは大統領選挙で勝つために重要な票田だったのです。

これはトランプ大統領が大統領選挙で勝利した要因とほぼ同じで、トランプ大統領も自動車産業を保護することで、製造業従事者の票田を獲得しました。ちなみに、30年代の農家と現代の自動車産業に共通することは、どちらも輸出競争力がないという点です。
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さて、現代の貿易戦争は30年代と比較すると関税の引き上げ規模が小さいものの、当時と比べるとグローバル化が進んでいるため、景気への下押し圧力は小さくないと考えた方が自然です。

たとえば、1930年のスムート・ホーリー法での全輸入品関税率の引き上げ幅は6%ポイントだったのに対して、トランプ政権による関税率の引き上げ幅はその三分の一の2%ポイントにとどまります。

しかし、GDPに占める輸入規模が30年4%から、現代は15%と約4倍に拡大しているため、貿易戦争による景気への下押し圧力は30年とほぼ同じと考えることができます。ちなみに、30年のスムート・ホーリー法はGDPを最大で2%押し下げたと推計されています。そのため、米国の保護貿易は今後GDPを最大2%押し下げることが予想されます。

では、貿易戦争は何をきっかけに終わりを迎えることができるのでしょうか。結論から言えば、供給過剰が解消されたら解決します。

そもそも貿易戦争の主な要因は30年代は農作物の供給過剰が主因で、現代は中国による鉄鋼やアルミの供給過剰が主因です。そのため、供給側が資源価格の下落をきっかけに淘汰されるか、あるいは供給量を定めた国際的な協調体制を築くなど、構造的な取り組みが必要です。

しかし、それには相当の時間がかかるため短期的な解決は困難で、世界経済はしばらく不安定な展開が予想されます。

グッドラック。

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